2004 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎とそのモデルマウスにおけるNK細胞の解析
Project/Area Number |
16790630
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
島田 由佳 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (60303301)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / NK細胞 / IFN-γ |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)患者54例と健常人18例より採取した末梢血を用いて、磁気細胞分離法によりNK細胞を単離し、一定濃度に調整した。PMAとIonomycin存在下で24時間培養した後、培養上清を回収し、モノクローナル抗体(R&D社)を用いたELISA法によって上清中のIFN-γ、IL-5、IL-10、およびIL-13濃度を測定した。その結果、AD患者ではIFN-γの上清中濃度は対照より有意に低下していた(73.31±11.86 VS 167.2±15.02ng/ml,p<0.05)。IL-5、IL-13、およびIL-10に関しては、AD患者と対照との間に有意差を認めなかった。次に、AD患者の詳細なデータベースをもとに、重症度、各検査異常、合併症、および治療などと各サイトカイン測定値との関連について解析を行った。その結果、培養上清中IFN-γ濃度は、重症例では中等症、軽症例よりも有意に低値を示し、各患者末梢血中の総IgE濃度や好酸球数との間に有意な負の相関を認めた。以上より、NK細胞によって産生されるIFN-γが、ADの病態形成に何らかの役割を果たしていることが示唆され、ADにおいてNK細胞の量的・機能的異常が起点となって、高度なTh2への偏位が生じている可能性が考えられた。現在、フローサイトメーターを用いて、NK細胞表面上の活性化・不活性化マーカー発現に関する2重染色解析や、NK細胞内サイトカイン量に関する3重染色解析を行っており、今後は、Real time PCR法によるNK細胞内のIL-5、IL-10、IL-13、IFN-γのmRNA発現量の定量や、ADモデルマウスにおけるNK細胞の解析を予定している。
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