2004 Fiscal Year Annual Research Report
NF‐kBデコイオリゴデオキシヌクレオチドによる抗原特異的免疫寛容の誘導
Project/Area Number |
16790652
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
磯村 厳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20363921)
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Keywords | NK-kBデコイ / 樹状細胞 / 制御系T細胞 / 免疫寛容 |
Research Abstract |
NF-kBデコイ(転写因子であるNF-kBの結合領域を含む20merのオリゴヌクレオチド(核酸))を応用して,私達はIn vivoでOVAによる遅延型過敏反応に対して経皮的な免疫寛容が誘導できるか,またどのような機序で免疫寛容が成立するのかを検討した.NF-kBデコイ2%含有軟膏を外用した後OVAで感作すると,7日後にOVAで遅延型過敏反応を惹起しても抑制された.またあらかじめOVAで感作したマウスにNF-kBデコイ含有軟膏を外用し,OVAで再度感作,惹起しても遅延型過敏反応が抑制された.以上からNF-kBデコイ外用によりOVAに対して免疫寛容が誘導された.さらに,免疫寛容となったマウスからリンパ球を取り出し,FACSで解析した結果,CD4^+CD25^+制御性T細胞が増加していた.またMagnetic beadsを用いて免疫寛容となったマウスから採取したリンパ球をCD4^+CD25^+T細胞とCD4^+CD25^-T細胞に分離し,これらを別のマウスに移入し再度OVAで感作,惹起したところ,CD4^+CD25^+T細胞を移入したマウスで遅延型過敏反応が抑制された.またCD25の中和抗体であるPC61を腹腔内投与し,制御性T細胞を除去した所,NF-kBデコイによる免疫寛容は解除された.次に樹状細胞の活性化や所属リンパ節への移動についても解析したところ,NF-kBデコイ外用により免疫寛容となったマウスでは,樹状細胞上のCD80やCD86の発現が減少し,かつ所属リンパ節への移動が抑制されていた.これらの結果から,NF-kBデコイ含有軟膏の外用により樹状細胞の活性化,所属リンパ節への移動が抑制されたため,免疫寛容が誘導されたと考えられた.またNF-kBデコイ外用により誘導された免疫寛容は抗原特異的であった.これは抗原特異的な末梢性免疫寛容を誘導する新たな方法である.
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