2005 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚色素幹細胞の分離培養法および幹細胞の分化誘導機構解明に関する研究
Project/Area Number |
16790673
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西岡 恵里 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00373340)
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Keywords | メラノサイト / TRP-2 / 幹細胞 / 毛包 |
Research Abstract |
マウスの皮膚を用いて、1回目の毛周期である生後19日目までと、2回目の毛周期に入ったところである生後20日以降の日齢において、1個の毛包を分離するのに適した条件設定を行い、毛包分離手技の確立を行った。現在までに生直後0-2日、19-20日、21日以降については、完全な毛包分離に100%成功するようになった。これらの毛包はそれぞれ成長期、静止期、成長期(2回目)であり、これらの単離毛包を用いて、毛母部、バルジ部を顕微鏡下に分離し、酵素処理で細胞を個々の細胞にわけてからそれぞれの細胞集団の培養を行った。メラノサイトのマーカーであるTyrosinase related protein2(TRP2)のプロモーターにLacZ遺伝子をつないだトランスジェニックマウスを用いると、単離毛包中のメラノサイトの位置を確認することができた、またケラチノサイト、メラノサイト、その他から成る集団の中でのメラノサイトを観察することができる。毛母部の細胞集団ではメラノサイトは培養下でも色素産生能を維持するが、バルジ部から成る細胞集団では、既知のメラノサイト用培養液を用いても増殖、分化がみられず、幹細胞としてとどまっていると考えられた。 また、単離した毛包を、各毛周期に相当する皮膚の真皮成分を培養して得たconditioned mediumを用いて器官培養を試みた。細胞外マトリックスの代用が期待できるMatrigel【○!R】処理を施した膜に単離毛包をのせ、膜を培養液状に浮遊させて行った器官培養では、毛の伸長を認めた。が、毛包の成長については、毛包を構成する細胞は培養液中で生存していたが、毛周期に合致する3次元的な成長は現在までに確認できていない。生体においては、毛包周期に同調して、血管新生、真皮成分の増加がおきることが知られており、それらからの毛包成長促進因子によって複雑に制御されていることが推察できた。
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