2004 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA型グルタミン酸受容体コアゴニストの難治性統合失調症に対する臨床応用
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16790676
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (70345289)
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Keywords | 総合失調症 / D-サイクロセリン / D-セリン / グルタミン酸 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本研究は、現在おもに使用されているドーパミン受容体阻害あるいはセロトニン受容体阻害作用によっても十分に改善しない主として陰性症状・認知機能低下に対するNMDA受容体グリシン結合部位アゴニストの臨床応用の可能性を検討することを目的としている。D-サイクロセリンはすでに本邦では抗結核薬として承認されており身体的安全性のデータの蓄積はあるが、脳内の薬物動態の解析についてはほとんど解析されていない。また、D-サイクロセリンの統合失調症に対する治療効果の判定において各種評価尺度の高い精度が要求される。このため今年度は、第一に、D-サイクロセリン投与臨床試験における認知機能等の症状評価の精度を確立した。具体的には、陰性症状が主体の統合失調症例においてPANSS、SANS、HAM-D、BPRS、GAS症状評価尺度をもちいて評価者間のばらつきを解析した。第二に、D-サイクロセリンの脳内薬物動態をしらべた。具体的には、Wistar系雄性成熟ラットにD-サイクロセリンを腹腔内投与し、経時的にD-サイクロセリンの血中および脳内含量の変化をHPLCをもちいて測定し、同時に各種神経伝達物質およびD-セリンおよびグリシンをふくむアミノ酸含量の変化を測定した。これによりD-サイクロセリン脳内代謝の用量依存的変化に関する詳細な結果が得られた。D-サイクロセリンは、NMDA受容体グリシン結合部位に対して部分アゴニストとして作用する特性ゆえに有効治療域を厳密にモニタリングする必要があり、今回の結果に基づいて、臨床例での薬物血中濃度測定による脳内薬物動態の把握が可能となると考えられる。
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Research Products
(2 results)