2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の細胞モデルを用いた、発症機序と予防法についての研究
Project/Area Number |
16790687
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 有史 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60372687)
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Keywords | パーキンソン病 / 細胞死 / α-シヌクレイン / パーキン / ユビキチン / NF-kappaB / 細胞内シグナル伝達 / アポトーシス |
Research Abstract |
パーキンソン病の原因遺伝子産物であるα-シヌクレイン、パーキンによる細胞死の機序の解明、および新しい治療法の手がかりを得ることを目的として研究を進めている。細胞モデルを用いて、細胞死、ユビキチン化、ミトコンドリア機能、細胞内シグナル伝達の解析を計画した。以下のように、現在までに細胞死・ユビキチン化の観察、細胞内シグナル伝達の解析において有意な結果を得ることができた。 既に野生型とA53T変異型α-シヌクレインのPC12誘導性細胞モデルを作成している。免疫染色にて、変異α-シヌクレインを発現させた細胞では、α-シヌクレイン陽性の凝集体を認め、その凝集体がユビキチン化されていることを確認した。さらに、細胞死をTrypan blue exclusion assayおよびDAPI nuclear stainingによって確認し、変異α-シヌクレインが野生型蛋白と比較して有意に細胞死を増加させ、それがアポトーシスであることを観察した。また、この細胞死は変異α-シヌクレインの発現量に依存していた。 細胞内シグナル伝達の解析において、nuclear-factor kappaB(NF-kappaB)との関連を解析するためNF-kappaB阻害剤を用い、変異α-シヌクレインにより誘発される細胞死が減少することを見いだした。 これらの結果は、NF-kappaB pathwayが、変異α-シヌクレインにより誘発される細胞死において重要な役割を担っているとともに、細胞死を抑制するための重要な標的となりうることを示唆している。今後、さらに変異α-シヌクレイン、またパーキンによる細胞死の機序を解析するとともに、治療法の手がかりを得るため、細胞死抑制の方法についての検討を行っていく。
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