2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスを用いたラット大脳皮質におけるカルバマゼピン関連蛋白質の同定
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16790705
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90350628)
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Keywords | MARCKS / カルバマゼピン / FK506 / カルシニューリン / プロテオミクス |
Research Abstract |
気分安定薬は、双極性気分障害の治療薬であり、リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンが用いられている。しかし現在までこれらの気分安定薬に共通の薬理学的作用は不明である。我々はラットにカルバマゼピンを5週間投与し、大脳皮質においてカルシニューリンAα、カルシニューリンAα RNAが減少しmyrisoylated alanine-rich C kinase substrate(MARCKS)のリン酸化の増加していることを発見した。リン酸化したMARCKSはセロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌に関与することから、リン酸化したMARCKSはカルバマゼピンの作用として重要と考え、カルシニューリンもカルバマゼピンの作用機序において重要と考える。カルシニューリンの抑制をきたす薬剤に免疫抑制剤のFK506がある。この薬剤はFK506結合蛋白質と複合体を形成し、カルシニューリンと結合しカルシニューリンの活性を阻害することが明らかになっている。FK506結合蛋白質は、免疫組織より脳内で多く発現するが、その脳内での働きの詳細は不明である。またFK506の非存在下でカルシニューリンとの間で機能的に関連性があり細胞内シグナル伝達系においてセカンドメッセンジャーであるイノシトール3リン酸受容体と結合しカルシウムチャンネルの活性の制御やGAP-43mRNAの発現との相関の報告があり、注目されている。カルバマゼピンにおいても、FK506結合蛋白質のように、カルバマゼピンと関連、結合するタンパク質、が存在し、カルシニューリンの抑制をきたしている可能性があるため検討した。カルバマゼピンのアフィニティーカラムを作成し、細胞質成分の蛋白質を結合させ、1Mカルバマゼピンで溶出した。SDS-PAGEでは8個のスッポトが対照群と比較して増加していた。さらに二次元電気泳動後、2D解析システム・バリアブル・イメージアラナイザー(アマシャム社:Typhoon)を用いて検討した結果proteinがカルバマゼピンと結合している可能性が判明した。現在各蛋白質の同定と抗体作成、さらに共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いIn vivoでの検討を行っている。
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Research Products
(3 results)