2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の早期診断を目的とする老人斑アミロイド画像化薬剤の開発
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16790734
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野 正博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80336180)
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Keywords | アルツハイマー病 / 痴呆 / 神経変性疾患 / 放射性薬剤 / 画像化 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の確定診断に患者死後脳の病理学的所見が必要な現状において、体外からの老人斑の画像化は有効な診断法の確立につながると考えられる。そこで我々は、核医学的手法を用いた老人斑アミロイドのインビボ画像化を目的として、老人斑アミロイドに選択的結合性を有する新規放射性薬剤の開発を計画した。我々は、これまでに、コンゴーレッドおよびチオフラビン-Tの誘導体であるスチルベンおよびベンゾフランの分子骨格が老人斑アミロイド画像化薬剤の開発に有用であることを示した。本研究では、さらに有用な老人斑アミロイド画像化薬剤の開発を目的として、スチルベン骨格の一つのベンゼン環をピリジン環に置換した(E)-3-スチリルピリジン誘導体の設計・合成を行い、インビトロ結合実験によるアミロイドβペプチド凝集体との結合親和性および正常マウスにおける体内放射能動態実験の検討から、(E)-3-スチリルピリジン誘導体の老人斑アミロイド画像化薬剤としての有用性について評価を行った。 種々の置換基を導入した(E)3-スチリルピリジン誘導体のブロモ化合物を合成し、Aβ(1-40)凝集体を用いたインビトロ結合実験を行った結果、側鎖が-N(CH_3)_2>-NHCH_3>-NH_2の順で結合親和性は増加した。最も高い結合親和性を示したジメチルアミノ体は、トリブチルスズを導入後、スズ-ヨウ素交換反応により、放射性ヨウ素化合物を作製した。この放射性ヨウ素化合物の正常マウスにおける体内放射能分布を検討した結果、既報の放射性ヨウ素標識ベンゾフラン誘導体およびスチルベン誘導体に比べ、投与早期の高い脳移行性とその後の脳からの速やかな放射能消失を示した。これらの結果より、ジメチルアミノ基を持つ放射性ヨウ素標識(E)-3-スチリルピリジンは、老人斑アミロイドの画像化精度の低下を引き起こす脳移行後の非特異的放射能滞留を低減しうる化合物であることが示された。
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