2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胃癌における抗癌剤誘導アポトーシスのシグナル伝達に関する研究
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16790779
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
建部 茂 鳥取大学, 医学部, 助手 (60362894)
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Keywords | 胃癌細胞株 / SN-38 / リン酸化Akt / アポトーシス / NF-kB |
Research Abstract |
抗癌剤誘導アポトーシスの研究は以前より行われているが,その機序についての詳細は不明な点が多い.胃癌細胞における抗癌剤誘導アポトーシスのシグナル伝達を解明すれば治療抵抗性の原因を解明する一つの手がかりとなることが予想され,治療効果のさらなる向上につながるものと考えられる。ヒト胃癌培養細胞株5株(MKN1,MKN28,MKN45,MKN74,KATO-III)に抗癌剤であるSN-38を添加し、XTT assayで感受性を調べると、MKN45,MKN74,KATO-IIIは高感受性、MKN1,MKN28は低感受性を示した。そこで高感受性株の代表としてMKN45、低感受性株の代表としてMKN1を選び、次の実験を行った。250nMSN-38添加48時間後のMKN1とMKN45のアポトーシス誘導率をFACSを用い測定したところ、前者で13.5%、後者で36.8%とMKN45で有意にアポトーシスが誘導された。両細胞株間の感受性の差はアポトーシス誘導率の違いによることが示唆された。続いて、両細胞株間のSN-38添加48時間後のリン酸化Akt(pAkt)の発現をWestern blottingを用い検討した。アポトーシスが誘導されやすいMKN45では用量依存性にpAktの発現は抑制された。しかしながらMKN1ではpAktの発現に変化は見出されなかった。そこで、MKN1にPI3K抑制剤であるLY294002を添加した後SN-38を添加すると、pAktの発現が抑制された。同様の条件でFACS解析を行うと、アポトーシス誘導率が35.9%とMKN45にSN-38を添加したレベルまで誘導された。さらに、MKN1とMKN45におけるSN-38添加後のNF-kBの活性(p65の核内移行)をWestern blottingを用い検討したが、p65の核内移行はみられず、SN-38添加によりNF-kBは活性化されないことが示唆された。以上のことよりヒト胃癌細胞株においてpAktの発現がSN-38誘導アポトーシスを抑制することが示唆された。
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Research Products
(1 results)