Research Abstract |
本年度は,脊椎後側方固定におけるPLA-DX-PEG/β-TCP compositeのrhBMP-2に対する担体としての有用性を検証する為,家兎を用いた実験を行った.以下にその進歩状況につき記述する. 前年度,粘土状の骨形成性人工骨・rhBMP-2/PLA-DX-PEG,/β-TCP compositeを使用し,家兎の腰椎後側方固定術を行った.その結果,この新しいインプラントの使用により移植部位に旺盛な新生骨形成を認め,片側につき最低15μgのrhBMP-2の使用において100%の脊椎固定率が得られた.過去の家兎脊椎固定術の報告では,BMP所要量は約100μgであり,それらと比し新しいインプラントの使用によりBMP量を約1/6に減量できた. そこで本年度はさらにBMP所要量を低減するために,BMPの骨形成作用を増強させる薬物を併用することを試みた.我々は過去にプロスタグランディンE2 EP4レセプターアゴニスト(EP4A)がBMPの骨形成効果を増強することを証明している.このEP4AをBMPと共にPLA-DX-PEG/β-TCPに混合し,家兎脊椎固定術に使用,BMPとEP4Aを同時に局所で徐放させ,さらに低容量のBMPでの脊椎固定術を行った. インプラントはEP4A・rhBMP-2・PLA-DX-PEG・β-TCPを混合,攪拌して作成.これを手術により,家兎の腰椎両側横突起間に架橋するよう埋植した.インプラント一つに対するBMPの含有量は7.5,3.75μgの2種,それぞれEP4A 45μgを混合した群,しない群を作成した。評価は2週毎の単純X線,CT撮影,6週後に屠殺,腰椎摘出し,徒手検査での脊椎固定率の評価,力学試験での定量的評価,脱灰標本での組織学的検討を行った. その結果,BMP7.5μg+EP4A群においては100%の脊椎固定率が得られた.BMP3.75μg+EP4A群,BMP7.5μg群,BMP3.75μg群においては各々40%,40%,0%であった.組織学的検討ではBMP7.5μg+EP4A群において横突起間の新生骨による架橋を認めた. 本実験により,BMPの骨形成作用を増強する薬剤の局所徐放の併用により,さらに低用量のBMPで脊椎固定が可能となることが示された.臨床使用を念頭に置けば,高価なBMPをより有効に使用するための有効な方法である.
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