2005 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド受容体におけるダイマー形成と分子内架橋に関する研究
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16790874
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇賀 久敏 京都大学, 医学研究科, 助手 (90359787)
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Keywords | opioid receptor / domain-swapped dimer / G-protein coupled receptor |
Research Abstract |
本研究はオピオイド受容体におけるダイマー形成がドメインスワッピングメカニズムによるものであることを証明しようとするものである。このために、まずカッパオピオイド受容体を第3細胞内ループで切断し、2つの前後のパーツに分け、それらを遺伝子組み換え技術を用い培養細胞に共発現させることで機能的な受容体ができるかどうか確かめてみた。その結果は、残念ながら機能的な受容体(リガンド結合活性のある受容体)の作製には至らなかった。M3ムスカリン性アセチルコリン受容体、D2,D3ドーパミン受容体では、この方法により、機能的な受容体が作られることが知られているが、カッパ受容体では機能的な受容体が作られなかった。その理由として第3細胞内ループで切断された2つの受容体タンパクは、構造的に不安定で(特に、第3細胞内ループからカルボキシルターミナル)培養細胞にうまく発現しない可能性があるのではないかと考えた。そこで131番目と210番目のシステインをアラニンに置換された変異受容体と第3細胞内ループから以降を尻尾切りされた変異受容体を共発現させることを考えた。これらの2カ所のシステインは広くGタンパク結合型受容体に保存されており、これらのシステインが形成する、ジスルフィドボンドはGタンパク結合型受容体の高次構造に必須であると考えられている。従って、システインをアラニンに置換された変異受容体と尻尾切りされた変異受容体を共発現させることで、受容体機能が回復すれば、カッパオピオイド受容体がドメインスワップダイマー(domain-swapped dimer)を形成する間接的な証拠になると考えられる。ところがこの方法でも機能的な受容体の作製には至らなかった。したがって、このような2つの受容体機能のない変異受容体の共発現により受容体機能を回復させるといった方法ではこれ以上のオピオイド受容体におけるダイマー形成の解析は無理であると判断し、この課題を断念せざるをえなかった。
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