2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790893
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
山崎 肇 獨協医科大学, 医学部, 助手 (10372898)
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Keywords | 慢性疼痛 / 個体差 / 遺伝 / パッチクランプ / 坐骨神経部分結紮モデル / Von Frey test / アロティニア / 近交系マウス |
Research Abstract |
平成16年度は,慢性疼痛モデルマウスの行動学的観察および脊髄スライス標本を用いた脊髄後角表層の神経細胞におけるホールセル・パッチクランプ記録の確立を行った。 慢性疼痛モデルマウスの作成には,従来から行われている坐骨神経を部分結紮するSeltzer法を用いた。この坐骨神経部分結紮モデルでは,結紮後翌日よりアロディニアが観察され,1週間後にはその傾向が顕著に見られるようになる。今回,このアロディニアの評価には坐骨神経部分結紮側の足底を機械的刺激するvon Frey testを用いた。近交系マウスであるDBA/2J系とA/J系マウスについてこの坐骨神経部分結紮モデルを作成し,比較したところ以下のことが判明した。1)坐骨神経部分結紮前の疼痛閾値はA/J系と比較してDBA/2J系マウスは有意に低かった,2)坐骨神経部分結紮後に観察されるアロディニアの程度はA/J系と比較してDBA/2J系マウスは有意に強い傾向を示した。これらの結果から,疼痛閾値および慢性疼痛の発生経過には遺伝的個体差が存在することが示唆された。次年度では,他の近交系マウスを用いて,疾痛閾値および神経因性疼における遺伝的個体差について調べるつもりである。 慢性疼痛の発症には脊髄後角における侵害需要伝達の変調が関与していることが容易に推測され,脊髄後角における侵害需要伝達の遺伝学的個体差について調べるために,脊髄スライス標本を用いた脊髄後角表層の神経細胞におけるホールセル・パッチクランプ記録を行い,微小シナプス後電流(mEPSCs)や神経線維の電気刺激により脊髄後角表層神経細胞に誘発される興奮性シナプス後電流(eEPSCs)について観察した。次年度では,様々な近交系マウスのmEPSCsやeEPSCsを観察し,その個体差について調べ,脊髄後角における侵害需要伝達における遺伝学的個体差について調べるつもりである。
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Research Products
(7 results)