2005 Fiscal Year Annual Research Report
ムスカリンtype2(M2)に対する全身麻酔薬の作用解析
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16790904
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上原 浩文 産業医科大学, 医学部, 助手 (00341511)
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Keywords | 麻酔薬 / Gq蛋白共役型受容体 / Gi蛋白共役型受容体 / M2受容体 / アフリカツメガエル卵母細胞系 / Gq / GiキメラG蛋白 / ハロセン / 不整脈 |
Research Abstract |
麻酔薬は心伝導系に影響を及ぼすが、そのメカニズムは未だに不明である。最近、ムスカリンtype1(M1)受容体といったG蛋白共役型受容体が中枢神経系において麻酔機序に関与しているという報告がなされている。G蛋白共役型受容体にはGq蛋白共役型受容体だけでなくムスカリンtype2受容体(M2)を始めとしたGi蛋白共役型受容体も多く存在している。M2受容体は心筋に存在し特にその伝導系に大きな作用をもたらし、これらは麻酔薬による不整脈をはじめとした作用に大きく関与していると予想されている。しかし、M2への麻酔薬の作用について詳しい検討はなされていない。 一方、アフリカツメガエル卵母細胞発現系は中枢神経系のGq蛋白結合受容体に対する薬剤の作用を検討する実験系として広く使用されている。最近、共同研究者の南らによってM2とGi/GqキメラG蛋白RNAを同時にアフリカツメガエル卵母細胞に注入して発現させ、Gq蛋白結合受容体と同じように細胞内Ca^<2+>の変動を利用した解析が可能になった。そこで、昨年現在までの研究においては、Gq/GiキメラG蛋白とM2をアフリカツメガエル卵母細胞発現系に同時に発現させた方法を用いてM2に対する麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)の作用を電気生理学的に解析し、ハロセンなどはM2を抑制することを明らかにした。さらにその作用はリン酸化酵素プロテインキナーゼCを介していないことが明らかとなった。 今年度はコントロールマウスとM2ノックアウトマウスの心筋スライスを用いてNaチャネルや電気依存性Caチャネルなどへの麻酔薬の影響を電気生理学的に検討を試みるために心筋の培養に着手した。また、細胞内Ca^<2+>の測定も試みている。来年度もこれらを検討し、M2への麻酔薬の作用が心筋の伝導系にどのように影響するかを検討し、麻酔薬の不整脈誘発機序を明らかにしたい。
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