2004 Fiscal Year Annual Research Report
シアリダーゼの発現が卵巣癌の腹膜播種形成に及ぼす影響とその作用機序の解明
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16790968
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
玉田 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30286538)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種 / シアリダーゼ |
Research Abstract |
卵巣癌由来細胞株(当研究室が所有する17種類の細胞株)におけるヒトのシアリダーゼ(NEU1,2,3,4)発現の有無をRT-PCR法にて解析した。その結果、NEU1はすべての細胞株で発現を認めたため細胞株の由来する組織型に依存した発現様式を示さなかったが、NEU3では卵巣明細胞腺癌株に特徴的な発現を認めた。NEU2、NEU4に関してはいずれの細胞株にてもその発現はみられなかった。そこでNEU3蛋白に対するモノクローナル抗体を用いて、シアリダーゼ3(NEU3蛋白)の発現量と臨床病態との相関を明らかにする目的で免疫組織化学染色を卵巣明細胞腺癌80症例に実施した。その結果、シアリダーゼ3の高発現と卵巣明細胞腺癌の進行期との間には相関を認めなかったものの、癌性腹膜播種の有無との間で有意な相関を認めた。免疫組織化学染色で得られた結果がin vitroにおいても再現できるかどうかを確かめるため、まず、NEU3 cDNAを導入した発現ベクターを作製した。つぎにRT-PCRの結果に基づいてNEU3発現がきわめて低い2種類の細胞株へ遺伝子導入しおのおののNEU3高発現株を作製した。 今後は由来の異なる卵巣癌細胞株2株において作製したNEU3高発現株とmock株(空ベクターのみを遺伝子導入したもの)を用いて、われわれの実験室にてすでに開発済みのin vitro癌性腹膜播種モデルやin vivo癌性腹膜播種モデルでの比較検討を行う予定である。
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