2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790969
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
富田 明代 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10286445)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / TGF-β / TGF-β typeII受容体 / 増殖能 |
Research Abstract |
婦人科悪性腫瘍のうち特に予後不良である卵巣癌の中でも,卵巣明細胞腺癌は初期においても生存率が他の上皮性卵巣癌と比べ低く,その悪性形質獲得機序の解明は治療法を進歩させる上で重要である.これまでに我々は子宮内膜症の共存が明細胞腺癌の予後を改善することを報告し,内膜症組織より産生されるTGF-βの,明細胞腺癌細胞の増殖抑制および予後改善への関与を示唆してきた.さらに当院の卵巣癌完全手術症例の中で術後再発を来たした症例のTGF-βII型受容体(以下,TβRII)mRNA発現量を測定した結果,術後再発に要する時間との間に有意な相関関係が認められた. そこで本研究では,TβRIIの発現量の変化と細胞の生物学的特性との関係を培養細胞株にて明らかにすることを目的とした. (1)卵巣明細胞腺癌由来培養細胞RMG-I,RMG-IIのsingle cell cloningを行い,各cloneについて細胞倍化時間を測定するとともに,RT-PCR法によってTβRII mRNAの発現量を定量した.この結果より各cloneをTβRII高,中,低発現群に分類し,各群間で細胞倍化時間を比較した.RMG-Iの倍加時間はTβRII mRNA高,中,低発現群でそれぞれ39.1±13.5,25.0±7.7,16.5±5.3時間であり,RMG-IIでは29.8±6.7,20.6±2.1,20.2±4.2時間で,高発現群と低発現群間にそれぞれ有意差が認められた(p<0.05).(2)RMG-Iにおいて,ヤギ由来抗ヒトTβRII中和抗体を用いTGF-βのTβRIIへの結合を阻害し,阻害程度(抗体濃度)毎に細胞増殖速度をBrdU incorporation assayを用いて調べた.その結果、中和抗体でのTβRIIの阻害により細胞増殖速度が速まった。 以上から,卵巣明細胞腺癌由来培養細胞においてTβRIIの発現量が少ないと細胞増殖が早まると考えられた. 次年度はこれらの事象をin vivoにて検討する予定である.
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