2004 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ嚢の免疫細胞と内リンパ水腫の病態に関する形態学的研究
Project/Area Number |
16791006
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (60335908)
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Keywords | 内リンパ嚢 / 免疫担当細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画は、内リンパ水腫の形成過程に関わっている可能性がある内リンパ嚢内腔の浮遊細胞、すなわちマクロファージやリンパ球様細胞の同定、およびそれらの免疫担当細胞のmigrationに関わる物質の発現を観察することであった。本年度に実施した実験では、モルモットを生体還流固定して両側頭骨を採取し、パラフィン切片を作製した。単核食細胞の組織中への遊走を促すケモカインの一種で、内リンパ嚢における免疫担当細胞のmigrationに関わると予想されるMCP-1に対する1次抗体を用いてビオチン増感ABC法による免疫染色を行い、抗体による染色性とその局在を光学顕微鏡下に観察した。その結果、内リンパ嚢上皮細胞において抗MCP-1抗体による明らかな染色性が認められた。内リンパ嚢上皮下の毛細血管には染色性が認められなかった。また、前庭、半規管の感覚上皮や蝸牛にも染色性は認められなかった。内耳では内リンパ嚢のみに発現が限局していることから、このケモカインが内リンパ嚢に特有の機能に関与している可能性が考えられた。正常内リンパ嚢におけるMCP-1発現は、内リンパ嚢上皮からの単核食細胞系の走化性を促すシグナルが、定常状態であってもこれらの細胞を常に内リンパ嚢内に動員し、内耳恒常性の維持に寄与していることを示唆している。それらの免疫担当細胞を内リンパ嚢へより多く誘導するために、外リンパ中へのショ糖による浸透圧刺激モデルを用いて、同様の観察を行う実験も現在進行中である。
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