2005 Fiscal Year Annual Research Report
I型アレルギーで惹起される新規の扁桃炎:マスト細胞の新たな生物活性の新知見
Project/Area Number |
16791016
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高柳 博幸 順天堂大学, 医学部, 助手 (50365631)
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Keywords | 慢性扁桃炎 / マスト細胞 / 抗Tryptase抗体 / 扁桃濾胞 |
Research Abstract |
対象は当科にて慢性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃肥大の診断にて両側口蓋扁桃摘出術を施行した患者。術前のCAP-RAST検査にてハウスダスト、ダニの通年性アレルギー原因抗原が2+以上陽性の群でアレルギー症状を認めたことのある者をIgE関連性アレルギー群(5歳〜32歳、n=15)、いずれの抗原も陽性でなく、アレルギー症状を認めたことのない者を非アレルギー群(5歳〜38歳、n=28)とした。 免疫組織染色にて扁桃におけるマスト細胞の分布を抗Tryptase, C-kit抗体をマーカーとして調べた結果、濾胞間領域と結合組織内血管周囲に多数認めた。 また、アレルギー群と非アレルギー群との比較では濾胞間にて非アレルギー群に統計学的優位に分布していた。IgEの分布も検討した所、濾胞間、結合組織内血管周囲に多数認めたが、結合組織内血管周囲にてアレルギー群に統計学的優位に分布いていた。 次に抗Tryptase抗体と抗IgE抗体の二重染色にてアレルギー群の半数以上が結合組織内血管周囲で二重染色されたが、非アレルギー群では濾胞間、結合組織内血管周囲いずれにても二重染色陽性細胞は少数であった。電子顕微鏡にて、扁桃におけるマスト細胞の構造を検討した結果、アレルギー群の非アレルギー群も濾胞間に存在するマスト細胞は多数、脱顆粒しており、結合組織内血管周囲では脱顆粒していなかった。扁桃の濾胞間にはCD4陽性T細胞が多数分布し、外来抗原やB細胞との応答に重要な役割を果たしていることからマスト細胞(抗tryptase抗体)とT細胞(抗CD4抗体)との二重染色を試みた結果、濾胞間にてマスト細胞がCD4陽性T細胞に囲まれて分布していた。 以上の結果を要約すると扁桃の濾胞間に存在しているマスト細胞は非アレルギー群にて優位に分布しIgEとの結合をほとんど認めず、T細胞に囲まれ脱顆粒していた。
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