2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16791217
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
丸山 雄介 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (40350839)
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Keywords | 短縮歯列 / 咬合支持 / レントゲン画像 / 下顎頭変位 / 満足度 / 補綴的介入 |
Research Abstract |
方法: 少数歯の片側性遊離端欠損となり,様々な理由により,最低6ヶ月間は残存歯において「短縮歯列」状態で経過している被験者に対して,以下の調査,測定を行った. A:(1)歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置による顎関節部のX線撮影 (2)6自由度顎運動測定装置を用いた最大咬みしめ時における下顎頭変位測定(以上,客観的評価) B:患者自身の短縮歯列状態に関するアンケート調査(主観的評価) 結果と考察: 本年度までに行われた被験者13名に対する結果は以下となる. 1.X線CT画像による顎関節部評価については,4名の被験者は、一部には形態的変化を認めるものの,正常像の範疇に入る画像診断結果であった.また,9名の被験者には,下顎頭の位置異常,関節隙の量,形態的変化のうちのいずれかの異常所見が認められた. 2.最大咬みしめ時における下顎頭の変位測定について,下顎頭の変位量に関しては,欠損側において平均0.54mm,非欠損側において平均0.36mmとなり,統計的にも欠損側の変位量が非欠損側に比べて有意に大きい値を示した(Paired t-test ; p<0.01).下顎頭の変位方向に関しては,上方から前上方に集中していた. 3.アンケート調査については,全6項目に関してVASを用いて評価を数値化した.各項目の最高スコアを100とし,平均値を算出した結果,50の値を境界値とすると13名中5名の被験者が何らかの不満を有している結果となった. 以上より,顎機能異常を訴えていない短縮歯列症例においても,客観的な形態的・機能的評価法に基づいて両側の顎関節を比較すると差異があることが示唆された. 今回の研究により実証されたとは言い難いが,臨床経験的な考察も考慮すると,短縮歯列症例に対して,画一的に治療方決定するのではなく,主観的評価,客観的評価の両者を多角的に組み合わせることによりカテゴリー分類し,このカテゴリー別に治療方針を決定すべきではないかという結論に至った. 今後の追跡調査により,短縮歯列としての容認に関しての一つの判断基準になると考える.
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