2004 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒過程における瘢痕形成分子メカニズムに関する解析
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16791289
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 巧 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30363154)
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Keywords | 創傷治療 / WISP-1 / 口蓋粘膜 |
Research Abstract |
創傷治癒組織において変動する遺伝子を検索する目的で、7週齢の雌性C57BL/6マウスの皮膚に直径5.0mmの創傷を作製し、その治癒過程8日後の組織と傷付けを行っていない皮膚からRNAを抽出し、約4,000の既知遺伝子を含むDNA micro arrayによって創傷治癒時に変動する遺伝子のプロファイリングを行った。その結果、spot intensityの比率が2以上(傷付けによって発現が2倍以上上昇、あるいは減少)変動があった遺伝子の中で発現上昇を示した遺伝子が62、減少を示した遺伝子が17であった。注目すべき結果として、成長因子であるCCN (Connective tissue growth factor, Cyr61,NOV)ファミリーのメンバーであるWnt-1-induced secreted protein 1 (WISP-1)の発現上昇が挙げられた。 平成16年度実験計画においてDNA micro arrayにおける結果の再現性を検討する目的で、マウス皮膚における創傷治癒0日、2日後、8日後の組織からRNAを抽出し、WISP-1の発現をNorthern blottingにて再確認したところ、創傷治癒8日後(増殖期)に明らかな発現上昇が認められた。WISP-1の創傷治癒組織における発現上昇の再現性が確認されたため、WISP-1のクローニング、発現ベクター(pcDNA3)へのサブクローニングを行なった。現在、テトラサイクリンによるWISP-1の発現制御が可能なベクターへのサブクローニングを行なうとともに、上皮細胞と線維芽細胞との三次元再構成培養実験系の確立を行なっている。今後、マウス線維芽細胞にテトラサイクリンで発現誘導可能なベクターを導入し、stable発現細胞株を樹立後、上皮細胞と線維芽細胞との三次元再構成培養実験系においてWISP-1を発現した場合における細胞応答について検討する予定である。 一方、マウス口蓋粘膜創傷治癒実験におけるWISP-1の役割に関しても検討している。マウス口蓋粘膜創傷治癒実験はマウス口蓋に幅1.5mmの創傷を作製し、創傷治癒5日後、8日後の切片を作製した。今後、WISP-1のin-situ hybridizationを行ない、マウス口蓋粘膜におけるWISP-1の発現様相を検討する予定である。
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