2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ni-Cr乳歯用既製冠からの組成元素の溶出と細胞毒性に関する実験的研究
Project/Area Number |
16791305
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
青山 哲也 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (80367614)
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Keywords | 溶出 / 乳歯用既製金属冠 / ICP-MS / Ni-Cr / 細胞毒性 |
Research Abstract |
本年度は乳歯用既製金属冠の地金であるNi-Cr合金からの組成元素の溶出挙動に対する動的因子(旋回条件),浸漬期間およびろ過の影響について検討を行った.すなわち,人工唾液を用いた様々な口腔内擬似環境下(旋回速度:0rpm,80rpm,160rpm,240rpm)で得られた抽出液およびろ液中の微量元素(Ni,Cr,Cu)を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて定量分析し,磨耗粉の観察ならびにその定性分析も同時に行った.また,各抽出条件下で得られた抽出液およびろ液の生体への影響をin vitroの細胞毒性試験で評価した.その結果,各組成元素の溶出は静置環境下では認められなかったが,旋回速度および浸漬時間を増すとともにその溶出量が増加した.中でもNiの溶出量はCr,Cuに比べてきわめて多く,240rpmの旋回条件下においてはその溶出量がCr,Cuの100倍以上にも及んだ.また,静置環境下を除く他の全ての旋回条件下における各組成元素の溶出量は,抽出液>ろ液であった.一方,磨耗粉をX線マイクロアナライザーで定性分析した結果,Ni,Cr,CuおよびZrを検出した.二次電子像からその形状は薄片状を呈し,大きさは数μmから数十μmに及んでいることが確認された. 抽出液およびろ液をヒト歯肉由来線維芽細胞とL929細胞へ一定期間作用させた結果,その細胞生存率は作用24時間後において生存率50%以下を示し,作用時間の増加にともない生存率は低下する傾向を認めた.また,抽出液とろ液の生存率の比較では,抽出液中の磨耗粉の存在が確認されたにもかかわらず各作用時間におけるそれは同程度であり両者間に有意差は認められなかった.
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