2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16041
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山本 尚 中部大学, 総合工学研究所, 教授 (20026298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAMANTA RAMESH 中部大学, 総合工学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ハロゲン化 / キラル触媒 / ブレンステッド酸 / ポリエン / ハロ環化 / 天然物 / δ-ラクタム |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性天然物にはハロゲン原子を含む化合物が非常に多い。そのいくつかは興味深い生物活性を持っているため、簡便で再現性の高い合成法の開発が望まれている。特にハロゲン基が不斉中心に位置するときには、触媒的な不斉合成が必要となるが、十分には開発されていない。本研究プロジェクトでは、光学活性なブロモ原子の導入とその後の閉環反応を開発するため、様々な触媒を検討した。その結果、光学活性なフォスホンアミドとブロモ化反応剤を組み合わせることにより、世界で初めてのブロモ閉環反応が開発できた。この結果は速報としてアメリカ化学会誌(JACS)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応触媒となるフォスホンアミドは光学活性なビナフトールから合成できる。様々なビナフトールを合成して、その触媒活性の構造活性相関を検索した。反応は様々なゲラニオール誘導体を原料に用いたところ、ハロゲン化反応は進行するものの、モノ閉環体が多く得られた。そこで、強いブレンステッド酸で後処理をすることで所望の反応が進行した。本反応は基質一般性が広く、多くの天然物合成に今後も用いられると思われる。さらには、最後の閉環反応の5員環が99%の光学収率で形成するという極めて興味深い結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本反応を用いた天然物合成を検討中である。とくに香料として極めて価値の高いアンブロックスの合成に取り組んでいる。さらに、反応の終点でアミノ化をともなうことで、ブロモアミド化反応による触媒的不斉ヘテロ環合成に用いる反応開発も開始した。最後に、ブロモ閉環ばかりでなく、フルオロやクロロ閉環にも今後取り組んでゆきたい。
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