2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reducing thermal resistance across interfaces in GaN-based LEDs by phonon engineering
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16F16369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 淳一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40451786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU RUN 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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Keywords | LED / 熱マネージメント / フォノンエンジニアリング / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,理論・数値解析と実験を合わせたアプローチによって,LEDチップ内の存在する様々な界面(GaN/金属電極,GaN/多層量子井戸,多層量子井戸内,GaN/基板)でのフォノン粒子の散乱(透過,反射)や,フォノン波の干渉の理解を進め,界面熱抵抗の制御性を明らかにする.本研究の前半部分では解析的手法を用いて,現象の理解,制御性の同定,またはそれに基づいた界面や構造の設計指針の獲得を目指す.そのためにますは,受入研究者の有する技術を用いて,第一原理によって正確な力場(ポテンシャル関する)を求め,それを用いたグリーン関数法によって界面でのフォノン透過関数および界面熱抵抗を計算する.また,分子動力学計算を併用することによって,フォノンの非弾性散乱の影響も評価する.次に,得られた結果を外国人特別研究員が有するLEDのフォノン・モンテカルロ計算に入力することにより,実際のLEDチップ内の熱伝導解析を行う.この前半部分は今年度(H28)から来年度(H29)の途中まで,一年ほどかけて行うが,そのうち今年度の4ヶ月では,上記の解析技術の習得や,練成解析の基盤の構築(適切な力場の確定など)に注力し,来年度早々に具体的な界面や構造モデルの計算が開始できるようにした.具体的には,密度汎関数法によるフェルマン・ファインマン力の第一原理計算を行い,それを用いて非調和原子間力定数の計算した.次に,これを使用して,フォノン分散関係よりフォノンの群速度を,フェルミの黄金律にもとづきフォノンの緩和時間を計算し,線形化ボルツマン方程式に入力することによって熱伝導率の温度依存性を求めた.以上をGaNやAlNについて行うことにより,比較的良好な結果を得た.また,界面におけるフォノン透過を求める上で用いる原子グリーン関数法についても計算工程を習得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析技術の習得や,練成解析の基盤の構築(適切な力場の確定など)が進み,来年度早々に具体的な界面や構造モデルの計算が開始できるようになっている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,受入研究者の有する技術を用いて,第一原理によって正確な力場(ポテンシャル関する)を求め,それを用いたグリーン関数法によって界面でのフォノン透過関数および界面熱抵抗を計算する.また,分子動力学計算を併用することによって,フォノンの非弾性散乱の影響も評価する.次に,得られた結果を外国人特別研究員が有するLEDのフォノン・モンテカルロ計算に入力することにより,実際のLEDチップ内の熱伝導解析を行う.今年度は,前年度習得した解析技術や,構築した練成解析の基盤(適切な力場の確定など)を用いて,具体的な界面や構造モデルの計算を開始する.具体的な計画を以下に記す. まず,第一原理計算のもとづいてGaNやAlNなどの原子間力定数を計算する.フォノン分散関係を計算して原子間力定数の調和項の精度を検証し,非調和格子動力学法により熱伝導率の温度依存性を計算して非調和項の精度を検証する.この原子間力定数を入力として原子グリーン関数計算によって界面フォノン透過を求める.この際,GaN/ AlNなどの異種界面の原子間力定数を局所仮想結晶近似で取り扱うことによって,世界に先駆けて第一原理にもとづいた界面熱輸送計算を実現する.次に,これを多層量子井戸の熱伝導の計算に発展させる.多層量子井戸ではフォノン波の干渉によって熱輸送が低減されている可能性があり,これを改善する設計が可能か,計算を用いて判断する.その際,ベーズ最適化計算と上記の熱輸送計算を組み合わせた手法による構造最適化も適宜行う.さらに,非調和格子動力学法や原子グリーン関数法によって得たバルク・フォノン輸送物性(状態密度,群速度,緩和時間など)と界面フォノン透過関数を周波数に依存する物性としてモンテカルロ計算に入力することによって,多層量子井戸に加えて周囲のp型およびn型半導体部までを加えたメゾスコピック系までを含んだ熱散逸を解く.
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