2016 Fiscal Year Annual Research Report
international comparison of environment and genetic risk factors in MS
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16F16415
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
横山 和正 順天堂大学, 医学部, 講師 (60333043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COSSU DAVIDE 順天堂大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-11-07 – 2018-03-31
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Keywords | multiple sclerosis / MAP / EAE / BCG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)患者において、ある特定の遺伝因子を持った個人における感染免疫が病態に果たす役割について明らかにすることにある。そこでまず宿主の消化管免疫を介して免疫修飾する作用の強いmycobacterium avium subspecies paratuberculosis(MAP)に焦点をあてた。 その際、同じmycobacteriaに属し、すでに結核予防のために臨床で結核の予防目的で日本国民に広く皮下接種されているBCGワクチンに対しての免疫応答がMS患者とそれ以外の対照患者血清を用いた。 実際にはMAP, BCGそれぞれの抗原にたいしての特異的抗体が産生されているかどうかについて、MS患者とそれ以外の神経免疫疾患で比較検討した。preliminaryであるがMS患者においてMAPに対するIgG抗体陽性である症例が有意であることが判明した。 また動物実験ではMAP、BCGぞれぞれの死菌が、T,B細胞などの獲得免疫、その他の自然免疫に対してどのように影響するかについて、免疫原性抗原の解析、またMS病態への関与をマウス実験的アレルギー性脳脊髄炎モデルであるEAE(experimental autoimmune encephalomyelopathy)で証明する事が必要である。過去に動物実験を行ったことの無いCossu Davideに技術指導を行い。白血球分画のフローサイトメトリー解析、液性因子解析が可能となった。合成ペプチドによる動物への能動免疫によりEAEの発症率も80%を超えて安定し、比較実験に使用できるシステムが樹立された。 またリンパ球の調整、FACS、サイミジンを利用した細胞増殖アッセイ、液性因子解析キットも本年度の予算で購入し正確なデータを得るための基礎固めが完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としてはまず検体を解析するための機器の整備立ち上げと、手技の確立である。順天堂大学免疫学教室との共同研究をおこなっており、関連設備としての必須の機器であるフローサイトメトリーの操作をまずマスターした。さらにサイトカイン、ケモカインなどの液性因子測定機器は当大学共同実験室で使用可能でありその手技も確立した。 動物実験手技に関してもすでに複数回の予備実験を重ねて確立し、実験的アレルギー性脳脊髄炎モデルであるEAE(experimental autoimmune encephalomyelitis)を誘導する事も可能となった。具体的には週齢8週のB10PL雌マウスに対し各種合成ペプチドを結核死菌不完全アジュバントとともに混和しミセルを形成させて完全フロイントアジュバントとする。麻酔を行いマウス尾部皮下に免役しその後百日咳菌毒素も注射しEAEを樹立する。重篤度の評価の標準化、その後解剖しリンパ節、脾細胞分離精製後サイミジンによるT細胞増殖アッセイや、サイトカイン、ケモカインのELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法による測定、FACS (fluorescence activated cell sorting)による細胞表面抗原解析の予備実験が可能となった。 このようにmycobacteriumが本来持っているほ乳類に対しての免疫原性、自己免疫疾患への影響、MSの病態解析が実際のヒト検体と動物モデルを介してベッドとベンチをつないだ実験系で証明することができる準備ができたことは画期的である。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の推察では、ある遺伝子背景をもっている個人が経口ルートで抗酸菌に属するmycobacterium avium subspecies paratuberculosis (MAP)に感作されることが免疫寛容の破綻を引き起こす。そこでMAPがどのようにEAEに対して影響するかどうかについての実験を行う。ただしMAP生菌は当施設(SPF Specific Pathogen Free)では使用できないため、死菌を用いて脳脊髄炎惹起にはたして影響があるかについて検討が必要となる。そのためまずB10PLマウスに死菌の経口投与を行い消化管経由でMAP抗原に感作させる。同時に感作していないマウスを対照として使用しする。さらに我々の先行研究ではヒトにおいてウシ結核菌を利用してすでに予防接種としてヒトに用いられているBCGがMS発症に対して抑制的に働く可能性を得ている。よってBCGを皮膚から感作させたB10PLマウスも比較対照として用い、その後MOG35-55ペプチドによる能動免疫を行い発病動物の臨床スコアー、液性因子解析、病理学的比較検討を行う。 同時に2D2 transgenic miceというMOG35-55ペプチド特異的なT細胞受容体を遺伝子移入することで、自然にEAEを発症するB10PLバックグラウンドのモデル動物を購入利用して、MAP死菌の経口感作とBCG接種による自然発症モデルの発症頻度、臨床スコアー、液性因子解析、病理学的比較検討を行う。 ヒトに関しての研究ではさらに症例数を増やしMAP抗体陽性と陰性MS症例における抗体産生の差について解析し、それぞれの遺伝子背景の違いを明らかにする。その際にはヒト組織適合抗原の血清診断を行い統計解析する。
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