2016 Fiscal Year Annual Research Report
へリアス核融合炉における炉心プラズマ予測精度向上のためのプラズマ熱輸送特性評価
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16F16756
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
横山 雅之 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (60290920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WARMER FELIX 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | ヘリカル方式核融合炉 / 大型ヘリカル装置LHD / 高電子温度プラズマ / 熱・粒子輸送 / 輸送モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリカル方式核融合炉設計に向けたシステムコードのヨーロッパにおける主担当者として、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)の高温プラズマにおける熱・粒子輸送機構のモデル化と、そのシステムコードへの導入を図る研究に取り組んでいる。平成27年から実験が始まったマックスプランクプラズマ物理研究所(ドイツ:本人の所属機関)におけるWendelstein 7-X(W7-X)の高電子温度プラズマ実験の急速な進展も背景として、平成28年度は、LHDとW7-Xの高電子温度プラズマの比較と、そのモデル化のための数々の準備に取り組んだ。両装置での密度スキャン、電子サイクロトロン加熱パワースキャン等、系統的なデータセットの選定、それらの熱輸送解析(核融合科学研究所のLHD実験適用型統合輸送解析コードTASK3D-aの活用、及び、ドイツ側の理論解析グループとの共同による解析)の実行、粒子輸送解析に必須な中性粒子解析コードEIRENEのTASK3D-a解析環境への導入など、様々な課題に取り組んだ。論文化には至っていないが、これらの状況について、核融合科学研究所の研究者との議論はもちろん、京都大学エネルギー理工学研究所や工学研究科における関連課題研究者との議論や、平成29年1月にドイツで開催された核融合炉設計に関する国際ワークショップ、同1月にマドリッドで開催された国際ヘリカル系調整作業会合(CWGM)における報告(当該課題のセッションリーダーを務めた)を行うなど、精力的な情報発信を行った。また、LHD第19サイクル実験においては、W7-Xでの実験遂行を見越して、さらに系統的な高電子温度プラズマのデータベース取得(軽水素、及び、重水素)を行い、解析範囲の幅を広げることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容の論文化には至っていないが、平成29年9月までの学術振興会外国人特別研究員としての滞在で成果発表、論文化に至ることができると期待できる様々な準備(実験データベースの整備と、新規実験によるその拡大、必要な解析ツールの習得と新たな解析コードの導入、核融合炉設計のためのシステムコードへの輸送モデルとしての導入の準備など)を精力的に進めている。また、それらに関して、国内外での発信に努め、国際研究動向を先導していくための議論も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに進めてきた様々な準備をさらに進め、系統的な高電子温度プラズマの熱・粒子輸送解析を行う。それに基づいて、高電子温度プラズマの熱・粒子輸送に関するモデル化、そのシステムコードへの導入を行い、特にヘリカル方式核融合炉の立ち上げシナリオの定量解析へと研究を進める。核融合炉心では、核融合生成アルファ粒子による電子加熱が卓越する状況となることが想定されるため、この研究内容は非常に重要な知見を与えることが期待される。平成29年10月には、国際ステラレータ‐ヘリオトロンワークショップが開催されるため、当該研究内容の論文化とともに、その場での成果発表も行う予定である。
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