2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16GS0201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 治 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (50092292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50280722)
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Keywords | ストレンジネス / ハイパー核 / 電磁相互作用 / (e,e'K^+)反応 / 中性K中間子生成 / 電子ビーム / 高分解能分光 / Λ粒子 |
Research Abstract |
研究の第一の柱である米国ジェファーソン国立研究所における電子線を用いたハイパー核分光実験においては、平成20年度に完成し米国に輸送した高分解能散乱電子スペクトロメータ(HES)と既設の高分解能K中間子スペクトロメータ(HKS)を組み合わせた新スペクトロメータシステムをHall C実験室に設置し、最高品質のハイパー核データの収集に成功した。進行中のジェファーソン研究所加速器大幅増強計画に伴い、大規模実験装置の設置を必要とする本実験のビームタイム割り当てが平成21年度となったため、ビームエネルギーに依存する部品の製作、最終調整を平成21年度に繰り越して実施した。平成21年1月に開始した同研究所におけるHES-HKSの組み立てに引き続き実験準備を平成21年夏までにすべて終了した。8月から11月にかけて^<12>C,^9Be,^7Li,^<10>B,^<52>Cr標的とするハイパー核分光データおよび水、CH2標的を用いた素過程および較正データ収集を成功裏に行った。この実験により、電子線を用いたハイパー核反応分光実験研究を中重ハイパー核(A=50)領域へと展開することに成功した。また、先だって得られたデータの解析も急速に進展し、7体系ハイパー核における荷電対称性の破れに関する新たなデータを得るとともにストレンジネスを含むハドロン多体系の物理を進展させた。一方、研究の第二の柱である東北大核理研における中性K中間子電磁生成実験において、NKS2スペクトロメータ磁石内に3次元軌跡情報をより高分解能、大立体角で得るために新たに飛跡検出器(VDC)を設置し、実験を開始した。このVDCにより生成されるK^0とΛの双方を同時に捕らえた事象を遙かに高効率で観測することが可能になり、生成されるΛの偏極度測定への道を開いた。本研究で得られた電磁生成分光とK^0生成素過程に関わるユニークなデータにより、ストレンジネス電磁生成過程を明らかにできる。
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