2006 Fiscal Year Annual Research Report
核・オルガネラコンソーシアムによる真核細胞の構築原理の研究
Project/Area Number |
16GS0304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 寛 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (60222113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40154075)
野崎 久義 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (40250104)
河村 富士夫 立教大学, 理学部, 教授 (10126039)
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Keywords | Cyanidioschyzon / organelle / chloroplast / mitochondria / genome analysis / red algae / symbiosis / cell cycle |
Research Abstract |
1.シゾン細胞周期において、ミトコンドリア・葉緑体ゲノムの複製は核ゲノムに先んじて起こる。本年度の解析で、真核細胞一般にG1/S期の移行に関わるサイクリン依存キナーゼ(CDK)の活性化は、オルガネラゲノム複製の後の起こることが明らかになった。また、CDKを特異的阻害剤で阻害してもオルガネラゲノム複製は阻害されず、核複製のみが阻害された。従って、オルガネラゲノム複製はCDK活性とは無関係であり、むしろCDK活性化の前提となることが示唆された。 2.細胞周期にわたる核・オルガネラ遺伝子の発現について、全ての遺伝子を網羅したマイクロアレイ解析を進め、遺伝子発現間の相関解析を行った。 3.窒素欠乏に応答した転写活性化に関与する転写因子MYB1を同定し、この蛋白質が窒素飢餓条件で核内に蓄積すること。窒素飢餓誘導性遺伝子のプロモーター領域に結合することを示した。 4.シゾン細胞における外来遺伝子の一過的発現について、実験条件を確立した。 5.シゾンの脂質合成系では、緑色植物の葉緑体にある脂肪酸不飽和化酵素群がすべて存在しないことが明らかになった。また葉緑体脂質の合成には、葉緑体で作られる飽和脂肪酸に加え、小胞体による不飽和化を経て葉緑体に戻った不飽和脂肪酸も必要とされるという新しい経路が働いていることがわかった。 6.シゾンの80S、および70Sリボソームの単離法を確立し、得られたサンプルをRHFR二次元電気泳動にて展開することにより、80Sリボソームからは64スポット、70Sリボソームからは51スポットのリボソームタンパク質の検出に成功した。また、80Sに関しては3種のスポット(L4、L8、S3Ae)を同定した。 7.2006年6月ころから大量公開されたESTデータ並びにゲノムデータを用いて真核生物の系統関係を進化速度の遅い19遺伝子を用いて系統解析した。その結果、紅色植物とエクスカバータ類(主に無色の鞭毛性の原生生物)の近縁性が示唆され、従来言われていた緑色植物と紅色植物の近縁性が否定された。また、エクスカバータの核にコードされているシアノバクテリア由来の遺伝子の解析を実施し、紅色植物との類似性が明らかになった。
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Research Products
(28 results)