2016 Fiscal Year Annual Research Report
IRCを導入したクロスカリキュラム「Global・Issues」の実践的研究
Project/Area Number |
16H00059
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
北尾 悟 奈良女子大学, 附属中等教育学校, 教員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 汎用的能力 / クロスカリキュラム / ルーブリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高等学校「総合」の分野において教科融合のテーマ学習の試行的研究を行い、教科融合の課題研究が「汎用的能力」を高めるために有用であることを、実践的に証明したいと考えたものである。 実践内容は、クロスカリキュラム「Global・Issues」の実践を、地歴科教員(私)主導で、英語科教員と連携し、高校1年対象の「総合」の時間を利用し行った(通年2単位)。 具体的な展開方法は、以下のとおりである。①テーマは、「外国人観光客の増加に対応する奈良の国際化プロジェクト」を設定し、グローバルかつローカルな視点を往還させる学習活動を組織した。②学習活動は、「書籍検索」「FW(フィールドワーク)」「レポート作成」「発表提言」の4段階で構成し、特に「書籍検索」活動では、書籍を生徒が探しだしweb上で内容を紹介しあい、コメントを交わす読書交流システム「IRC」(Interactive Reading Community)を試行的に実践した。③生徒の探究活動を前提に、地歴科教員(私)による社会的・歴史的アプローチを軸に、英語科教員による文化比較の視点を組み合わせた各教員の専門性を重視した体制をとった。④FWでは、国際都市奈良の利点を生かし、英語による外国人へのインタビュー活動と地元観光業界へのインタビュー活動を組み合わせて実施した。⑤研究活動は個人研究を基本として、書籍調査とFWによって得られたデータを自ら設定した小課題のもとで統合し、言語化するとともにポスターを通じて他者へ伝える活動を行った。 ルーブリックによる自己評価・他者評価を通じて考察した結果、以下の成果が明らかになった。①「IRC」による活動は、単なるデータ検索にとどまらず、「主体的な読み」の実現につながること。②外国語によるインタビュー活動は、自国と他国の文化比較にもつながり、それを歴史的アプローチと言語的・比較文化的アプローチで異教科教員が意味づけることで、単なるデータ収集活動を超え、生徒自身の意欲関心や思考力の深まりにつながること。 今後さらに、多様なテーマ設定の下で実践例を増やすことで、汎用的能力を育成する高校「総合」の学習における典型例が多く蓄積されていくことと確信する。
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