2016 Fiscal Year Annual Research Report
中学生が自己肯定感を高め合う人間関係を育む「ことば」の談話分析研究
Project/Area Number |
16H00068
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中島 義和 お茶の水女子大学, 附属中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 自己肯定感 / 接触・交流により生じる違和感やズレ / 「リッチ・ポイント」 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 生徒一人ひとりが自己を啓き、仲間と互いに自己肯定感を高め合える、豊かな学級を創り上げていくためには、生徒同士間、あるいは担任教師と生徒の間にはいかなる関係性が構築されればよいのだろうか。求める関係性を教室内での「ことば」に着目し、教師と生徒、生徒相互の人間関係を構造的に捉え直すことを主たる目的とした。生徒が集団への帰属意識を持ち、生徒・教師ともに自己肯定感を高め、授業や諸活動に自発的に意欲的に取り組めるための教師のリード・サポートに必要な要素を探ることもねらった。 研究方法・内容 国内の小・中学校の学級での参与観察を行い、採取音声・映像記録から作成するトランスクリプトやフィールドノーツから分析を行った。観察は、集中観察校と継続観察校で行った。研究代表者は平成28年度より東京大学大学院教育学研究科に所属し、研究室の藤江康彦准教授のご指導やご助言や大学院での談話分析研究や質的研究法の講義を参考に、授業内での発話や行為から、特徴的な授業を抽出し、それを、アメリカの文化人類学者Agarの「リッチ・ポイント」という概念に基づき、場面抽出、コーディング、カテゴライジングを行い、「リッチ・ポイント」創出の促進要因と阻害要因を導き、モデリングを行った。 研究成果 Agar(1996)では文化間のgapやdistanceがもたらす新たな文化を「リッチ・ポイント」という概念として提唱した。学級においてそれぞれの知識や経験が接触・交流し合う際に生じる違和感やズレの感覚から対立や衝突に至るまでの、構成員間で相互作用する過程や瞬間そのものが、人間関係を豊かにし、学級文化を構成する要素の一つであるととらえた。これこそが「リッチ・ポイント」であると考え、その創出の促進要素や阻害要素を浮き上がらせ、それを意図的に授業づくりや学級づくりに取りこむことで、より豊かなものにすることができると考える。本研究を継続して深め、修士論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(6 results)