2016 Fiscal Year Annual Research Report
内言を言語表現する力を育む国語科メディア学習プログラムの実証的研究
Project/Area Number |
16H00103
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
野中 拓夫 大阪教育大学, 附属平野中学校, 副校長
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 国語科メディア学習 / 内言の表出 / 自己内対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、テクストと向き合う時に心の内で起こるコミュニケーション(内言)を様々な角度からメタ的に見つめ、捉え直し、それを言葉で表現できる力を育む国語科学習プログラムの開発および有効性の検証である。内言を言語表現する力を育むことは、言葉の教育を担う国語科の大きな使命だが、今までの研究の結果、その指導方法こそが課題であるという認識を持つに至った。本研究では、子どもたちの日常的言語生活に根ざした教材使用の観点から、マルチモーダルテクストの利用をベースに、国語科ならではのメディア学習としての方法を開発・提案することを目指した。 研究の方法としては、メディア学習先進国であるイギリスのカリキュラムや教科書を調査し、我が国の国語科教育にどのように活かせるか、その切り口や方法を考えることから始めた。特にEnglish&Media Centre(EMC)の出版物などから、母国語教育におけるメディア学習の基本的な考え方や、学習の構成に関する知見を得て、教材作成に生かすことができた。 学習プログラムの具体として、静止画を主教材とした基礎編と、よりモードの組み合わせの複雑な動画テクストを主教材とした応用編を、「商品広告」というカテゴリーにしぼって作成し、多角的なテクスト読解を中心とした国語科メディア学習としてのプログラムを作成した。たとえば応用編プログラムにおいては、テレビCMを題材に、想像・分析・説明・批評・表現などの言語活動を、常に比較の軸を意識させながら行わせたことを特長として挙げることができる。 生徒の学習記録を分析した結果、比較の軸の片側に「自己」を配し、客観的視点を意識させるようワークシートに明示し、対比の観点が明らかになるように仕掛けて学習記述をさせたことにより、自己内での対話が活性化され、結果として内言の表出を促すきっかけとして機能したことなどが研究成果として認められた。
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