2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00155
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Research Institution | 仙台市立山田中学校 |
Principal Investigator |
小野 雄祐 仙台市立山田中学校, 中学校教員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 比 / 比例式 / 比例 |
Outline of Annual Research Achievements |
○本研究の目的 本研究の目的は, 比と比例式の学習指導を改善することにある. 現在の中学校の比及び比例式の指導は, 方程式の活用場面として扱われ, 形式的に処理できるようにすることに重きがおかれている. 関数としての比例との接続を意識して指導することに重きはおかれていない. そこで小野他(2014)では, 中学校第1学年の生徒を対象に, 比例式の学習をする際に, 比例式と比例の接続を意図した授業を行った. その際以下の3点を意識して扱った. ①比例式に表せる根拠を, 「比例の関係にあるとき」とする. ②同種の2量の比例式だけでなく, 異種の2量の比例式を扱う. ③異種の2量の比例式の外比の比の値の意味を考えさせる. この実践を通して, 生徒は以下の3点について明らかにすることができた. ①異種の比が等しいとする比例式のよさを生徒が感じ取ることができた. ②小学校の比例の定義に基づいて2量の比例関係を捉え, 比例しているので異種の外比が等しいことを認めることにより, 比例の関係にあるとき比例式が成り立つことの認識が深まった. ③異種の2量の外比の比の値に着目することで, 普遍的な関係に着目する契機が生まれ関数としての比例y=axへ移行する手がかりとなる可能性があること, である. 異種の外比の比の値が, 関数作用素へと変わっていくプロセスの実証的検討は今後の課題であった. 本研究の目的は, この課題を解決するために, 教材研究・授業実践を行うことにある. ○研究の成果 今年度は上記の課題を解決するための実践授業を行った. 具体的には, 比例の関係が内在する問題解決の際に比例式を扱った. また, 異種の2量における外比の比の値の意味理解から, 中学校で学習する比例の学習を始めた. 実践の結果, 異種の2量の外比の比の値を関数作用素へと移行させる際に, 必要な手立てが何か明らかにすることができた. また, 比の値が関数作用素へと変わっていくプロセスを明らかにすることができた. 今後は, 本実践で明らかになったことを詳細に分析し, 論文として投稿する予定である.
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