2016 Fiscal Year Annual Research Report
実物教材の観察・操作・作成による数学授業の空間認識力向上プログラムの開発
Project/Area Number |
16H00165
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中西 遼 大阪教育大学, 附属池田中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 空間認識力 / 空間図形 / 結び目の数学 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究目的> 本研究の目的は, 立体模型や結び目理論※を基にした図形を実際に観察・操作・作成することで, 生徒の空間図形に対する見方, 考え方, 表現力(=空間認識力)を育成するプログラムを開発し, 空間図形をとらえる力を高める効果があることを実証することである。 ※結び目理論…位相幾何学の学問分野に属し, 他の数学のいろいろな分野や量子統計力学などの数理物理学とも関連して研究されている。結び目の場合は複雑になっても交点数が増えるだけで表現できるため, 空間図形を容易に描きながら, 3次元空間の位置関係をイメージし, 探究活動をすすめることができる。 <研究方法> 1 空間図形の見方に関する生徒の実態調査を授業実践より前に行う。 2 1単元12時間編成で計画し, 実践する。以下は具体的な題材と簡単な概要である。 (1) 図形の通過…「立方体は自身よりも大きな立方体を通過させることができるか」という課題に取り組む。課題を具現化したモデル(立体模型)の作成を目指す。 (2) 立って見える図形…平面上に描かれているが, 立体であるかのように見える図形の作成を目指して探求する。平面上と空間上の図形の見え方の違いをとらえる。 (3) 立体交差…平面に描かれた図形を空間でとらえ直す課題である。立体交差が逆転して見えるのはどのような図形かを考察し, 平面に表現し直す。 3 授業実践後に, 実践前の実態調査と同様の調査を行い, 比較することで効果測定をする。 <研究成果> 1 効果測定より, 本実践によって空間認識力が向上したと認められる結果が得られた。 2 実物教材を扱うことで, 表現力だけでなく興味・関心も高まったと考えられる。 3 一部の題材について, 理解や考え方が難解なものがあり, 題材を再考する余地がある。
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