2016 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校物理の指導目標の変遷と教材の扱い方に関する基礎研究
Project/Area Number |
16H00173
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 英治 広島大学, 附属福山高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 物理教育 / 指導目標 / 教育観 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 : 教師が物理授業を行う際に重きを置いている目的・目標は何かを明らかにするため, (ⅰ)教師の考えや指導法に影響を与えていると考えられる学習指導要領の指導目標の変遷をまとめ, (ⅱ)学習指導要領改訂毎の教師が抱いていた物理教育の目的・目標観を文献よりデータ抽出し時代毎の分析を試みた。 2. 研究方法 : 研究目的(ⅰ)は, 学習指導要領及び同解説などから共通用語を抜き出すとともに, 文科省の視学官や教科調査官などの書籍をもとにそれらの用語の意味や意義の不変や変動の検証を試みた。研究目的(ⅱ)は, 日本物理教育学会の機関誌「物理教育」よりデータを抽出して, 時代毎の教師の考えや意見などをもとに教師が抱く物理教育の目的, 目標観を分析した。 ○研究成果 : (ⅰ)の学習指導要領の分析では, どの時代にも「科学的な自然観」, 「探究」, 「科学的な考え方」, 「基本的な概念, 原理, 法則」と「科学の方法」の目標が掲げられていた。しかし用語の意味は時代毎で必ずしも同じではなく異なるものもみられ, 例えば自然観は「自然を観る」から「自然を考える」といった静的から動的な意味合いへと変容がみられた。 一方, 教師の教育観の分析では, 教師が最も重きを置いた目標は「目の前の生徒に物理を理解させる」ことにあった。そして「物理を理解させる」の「物理を」に当たる部分である, 目標や内容が昭和40年代と50年代では異なり, 「物理の知識(概念)を知る」から「物理を通して思考や価値などを形成する」へと変化がみられた。その主たる要因は物理履修者としての生徒そのものにあり, 学習指導要領改訂毎の履修制度の違いが影響を与えているものと考えられる。 本研究は学会誌に投稿した教師の考えや意見をもとに分析している点で注視すべきだが, 教師が授業を行う際に抱く物理の目的や目標の1つの傾向が明らかになったものと考える。
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