2016 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子リテラシーを生徒の公衆関与力につなげていく中学校理科カリキュラムの開発
Project/Area Number |
16H00193
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 誉也 静岡大学, 教育学部附属浜松中学校, 指導教諭
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 公衆関与 / カリキュラム / 遺伝の規則性と遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究目的 科学技術が私たちの将来の生活の質を決定するに至っている現代社会において, 公衆関与は, 各人それぞれの科学的リテラシーが十分に高められた市民によるものでなければならない。本研究では, 未来の社会のよき担い手となる市民を育成するため, 生徒が公衆関与をする力=公衆関与力を高めることを目指し, 中学校3年生「遺伝の規則性と遺伝子」において, 実感を伴った遺伝子理解ができるような教科カリキュラムの開発を目指した。 2 研究方法 教科カリキュラムを開発するにあたって, ショウジョウバエを用いた形質遺伝実験を行いながら, 形質の伝わり方を, 実験に基づいて見出していく学習を教科カリキュラムに組み込んだ。また, 組換え遺伝子を用いた大腸菌形質転換実験を中学生対象に行うために, 静岡大学浜松キャンパスの教員の協力を得て, 中学生にふさわしい器具の選定や操作方法, 手順の見直し, 複数時間にわたる実験の時間配分・教授形態の設定を行った。また, 教科から総合的な学習の時間へと無理なく発展できるような学習課題の設定を行った。 3 研究成果 実感を伴った遺伝子理解のために, ショウジョウバエを用いた形質遺伝実験は非常に有効であった。その際, 縮退翅と黒檀色では, 縮退翅の方が授業に適していることも明らかとなった。大腸菌形質転換実験は, 遺伝子リテラシーを身につけさせるためには非常に有効であることが確認された。全ての操作を中学生に行わせるには, 多くの問題があることも明らかとなり, 操作法の改善や教授法の工夫が必要であることが分かった。さらに, 総合的な学習の時間に引き続き追究学習を行い, 社会に対して行動していこうとする生徒に対し, 思考の受け渡しを継ぎ目無く行うためには, 適切な学習課題をあらかじめ与えておくことが必要であり, そのための課題設定に浜松中版タキソノミーの活用が非常に有効であった。
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