2016 Fiscal Year Annual Research Report
双方向的な動画配信システムを利用した化学実験における安全技術向上プログラム開発
Project/Area Number |
16H00199
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
福野 勝久 大阪教育大学, 附属高等学校平野校舎, 教諭
|
Project Period (FY) |
2016
|
Keywords | ICT利活用 / 高校化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は動画を用いて「詳細に現象を把握・認識し, 言語で表現する能力」や「安全性を重視した操作で実験を行う技術力」を育成するプログラムを検討, 開発することである。 化学の無機化学の分野の実験について, Microsoft社PowerPoint用アドインであるOffice Mixを用いて, クイズを挟んだ動画を作成し, Microsoft社のサーバーにアップロードした。これを授業前や授業中に生徒に提示した。提示したのちに実験を行い, レポートやテストでの成果物を分析した。 生徒の成果物で次のような変化が見られた。 ・金属イオンの定性分析のレポートにおいて, 昨年度の生徒は溶液の色または沈殿の色のどちらかのみに着目した記述が多かったが, 今年度の生徒は溶液と沈殿の両方の変化を記録したものが増えていた。 ・濃硫酸の水の希釈について, テストで必要な器具と希釈方法を記述させる問題の正答率が昨年に比べて上昇した。特に, 必要な器具においては冷却用水槽やガラス棒といった安全面で重要な器具の正答率が伸びていた。 また, 実験手順を詳細に伝えず, 動画に収めるべき現象を指示して, 収録させる作業を行わせた。全班が実験に必要な器具を自ら選択して, 適切に扱っていた。これらのように, 行動面での変容が見られた。 一方で生徒アンケートの自由記述欄からは次のような回答を得た。 ・同じ現象を見ていても, 他の人と見え方が違っていて, 一つ一つごとに相談しながら実験するのが大事だと思った。 ・一度では変化を全部見られてないから, 普段の実験でも同じ操作を何回かできたらいいと思う。 ・危険な実験の失敗例を動画で見ることができ, 絶対にしてはならないと思った。 このように生徒の認知面からも変容が見られた。 目的の通り, 動画を用いて, 実験室での技術指導を補完することができた。
|