2016 Fiscal Year Annual Research Report
「デジタル3sカード」を用いた児童の思考力・判断力を高める振り返り活動の実践
Project/Area Number |
16H00222
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Research Institution | 伊勢市立有緝小学校 |
Principal Investigator |
山村 勝人 伊勢市立有緝小学校, 教員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 協働 / 発信 / 共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、視点を明確にした発信・共有を通した協働的な振り返りの実践を行い、課題解決の思考過程の振り返りも行うことを目指した。そして、発信・共有のしくみとして「3sカード」とタブレット型端末を活用し、思考過程の表現に有効であるかを検証し、思考過程の振り返りが思考力・判断力の育成に効果があるかを検証した。 実践は、算数科1単元終了後ごとに行った。振り返りを「3sカード」に書き、グループ内で発表し、タブレット型端末を用いて学級全体で共有した。そして、発表、共有された振り返りの気づきについて話し合いを行った。また、「3sカード」については紙媒体だけでなく、タブレット型端末上でデジタルとしても活用した。 実践後の調査用紙の結果によると90%近くの児童が「3Sカード」は考えを書きやすい、発表しやすいとした。3項目、箇条書きのルールが既習の知識の定着や振り返りの表現を促進し、表現力の育成にもつながったと考えられる。タブレット型端末活用により考えをとても比べやすくなったとした児童が84%いた。可視化、共有された振り返りから、自分の考えへの新たな気づきが生まれ、1人の活動では気づかなかった考え方を他の児童から気づくことができた。実践後の単元テストの結果では、すべての項目において到達率の上昇が見られた。しかし、「思考・判断」が他の項目と比べて伸び少なかった。思考過程の振り返りが不十分であったと考えられる。今後の課題としては、思考力・判断力の育成についての検証に不十分な点があったことである。今後は、さらに授業記録やノートなど分析を詳細に行い、本研究おける思考力・判断力・表現力の育成についての可能性をより見出していきたい。 そして、今後の展望として、算数科以外でも実践を行い、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習において、協働的な振り返りを行っていきたいと考えている。
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