2016 Fiscal Year Annual Research Report
盲学校理療科生徒のための坐骨神経鍼通電の成功率を高める指導法の開発
Project/Area Number |
16H00261
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
工藤 滋 筑波大学, 附属視覚特別支援学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 視覚障害 / 低周波鍼通電 / 位置の定位 |
Outline of Annual Research Achievements |
坐骨神経鍼通電は、神経痛に有効な治療法であるが、盲学校のあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの職業課程に在籍する生徒の成功率は必ずしも高くない。そこで実際に生徒が坐骨神経鍼通電を想定した動作を行う場面のビデオ分析から、正確な刺鍼部位の決定を困難にしている要因を明らかにし、指導法の開発につなげていくこととした。 10名の生徒を対象に、坐骨神経刺鍼説明模型を用いて、坐骨神経鍼通電に関係するA点(255mm離れた2つの指標の中点)とB点(195mm離れた2つの指標の左から3分の1の点)の2つの部位に刺鍼させ、それぞれ本来刺鍼すべき部位との誤差距離をX軸方向とY軸方向に分けて測定した。2要因の分散分析を行ったところ、A点におけるY軸方向の誤差距離が他と比較して有意に大きかった。また、A点とB点の刺鍼部位決定時の姿勢を観察したところ、刺鍼部位を通る平面と体幹の傾きとがなす角度では、A点がB点と比較して有意に大きかった。先行研究により、立方体表面上の部位では上面に位置する部位が定位しやすいことが明らかとなっている。そこで鍼施術においても、刺鍼部位を通る平面が相対的に上面に近くなるような姿勢をとることで、より正確に刺鍼部位を触診することができるようになるかを検証することとした。 10名の生徒を対象に、直立位に近い姿勢と、刺鍼部位を通る平面が相対的に上面に近くなるような前傾姿勢とでそれぞれA点に刺鍼させ、Y軸方向の誤差距離を比較した。その結果、前傾姿勢の方が有意に誤差距離が小さかった。このことから、刺鍼部位を決定する際には、刺鍼部位を通る平面が相対的に上面に近くなるような姿勢をとることで、より正確な部位を決定できるようになると考えられる。
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