2016 Fiscal Year Annual Research Report
一斉指導の中で発達障害児がともに学べる3年生新出漢字の指導方法
Project/Area Number |
16H00266
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Research Institution | 飯塚市立飯塚小学校 |
Principal Investigator |
杉本 陽子 飯塚市立飯塚小学校, 教員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 特別支援教育 / 教材 / 通常の学級 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 : 通常の学級に在籍する漢字の読み書きに困難のある児童に対して, 個々のつまずきに応じて継続的な支援を行うために, 一斉指導の中で展開できる新出漢字の指導方法を研究開発する。 2. 研究方法 : 小学校3年生で学習する新出漢字の指導を効果的に進める指導方法と指導で活用する支援教具を作成し, これらを活用して協力校及び通級指導教室で実践を行った。対象児童の学習の様子や漢字の定着度などの効果を明らかにして指導方法や支援教具の有効性, 活用のしやすさを検証した。 3. 研究成果 : 指導方法には, 読みの先行学習, ゲーム感覚で楽しく学習に取り組む活動や、体感させながら字形を確認する活動, 意欲を支える漢字の練習プリントやテストの実施などが含まれている。支援教具は, 『イラスト付き漢字のフラッシュカード』『漢字のマッチングゲーム』『漢字ビンゴゲーム』『なぞりがき漢字練習ボード』など6種類を開発活用した。その結果, 漢字を覚えることが難しかった児童は, フラッシュカードを活用した漢字クイズやマッチングやビンゴなどのゲームに夢中になりながら漢字を繰り返し見て聞いて声に出して読むうちに, 読みを確かにしていくことができた。また, イラスト付きカードの絵と文字を一緒にして覚えると記憶がスムーズで, 「漢字の勉強が楽しくなった」と嬉しそうに言って, 進んで読みの練習をするようになった。書くことが苦手な児童は, なぞりがきボードで字形を確かめ, 漢字のパーツを正しく書けるようになった。読みについては対象児全員がそれぞれの目標を達成できた。書きについては, 練習をがんばっていれば必ず書き取りができる選択肢付き漢字テストや一画目のヒントがあるテストの活用で、覚えることが苦手で漢字練習から遠ざかっていた子どもたちが意欲的に漢字練習に取り組み、その結果書き取りができる文字数が増えていった。担任からは, 「年間を通して漢字指導で活用できる教材がそろっていたので、1年間継続した指導支援を行うことができた」「これまで漢字学習に意欲的でなかった子ども達も漢字学習の時間を楽しみにするようになった」などの感想があった。これらの感想からも指導方法、支援教材は有効であったと考える。また年度末には, 家庭学習の課題として『選択肢付き・一画目のヒントのあるプリント』を活用した学級が8割を超え、児童にとって今のその子の力でやり遂げられる取り組みやすい教材であったと考える。 4. 今後課題 : 開発した支援プログラムや支援教具は, 一斉指導でより活用しやすくなるよう改良すると共に, 機会を捉えて本研究の成果を発表し, 多くの教師との意見交換を行いたい。
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