2016 Fiscal Year Annual Research Report
3DCGによる歯型彫刻の視覚的指導における有効性の検証
Project/Area Number |
16H00281
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福島 恵美子 筑波大学, 附属聴覚特別支援学校, 歯科技工士
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 歯型彫刻 / 三次元計測 / 誤差分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯型彫刻指導に三次元計測器を用いた手法が効果的であることが過去の研究で明らかになっていた。しかしながら実施には高額な計測機の導入が必須であり、導入可能な養成機関は限られる。本研究ではまず、一般的な歯科補綴物作製用の歯科用スキャナーと付属ソフトウェアで誤差計測が可能な歯型彫刻専用模型と治具の模索を行った。次に、本校歯科技工科の全学生が時間内に専用模型を用いた模刻(上顎中切歯)を行い、そこで得られた彫刻体と見本模型との形状をスキャニングし、ダブルスキャンにて誤差の視覚化を行った。本校では通常、担当教員から手話や口話、図示による彫刻指導を行うが、今回は彫刻体と見本模型の誤差の分析結果を紙面に印刷し、視覚的資料として学生へ提示(五面観、断面)した。また、彫刻の前後で歯型彫刻に対する意識調査、彫刻後は今回の指導法に対する理解度アンケートを実施し、各彫刻物の誤差分析とアンケート結果から本手法に対する指導効果を考察した。 アンケート結果より、視覚的資料を用いることで、自分の彫刻物と見本模型との誤差がわかりやすいという回答が全体の90%以上を占めた。彫刻を苦手とする学生の意見には「普通の彫刻より、自分の悪いところが視覚的資料を見てすぐわかるから、次の彫刻の時はここに注意しようという気持ちが出た。」という評価を得た。一方で彫刻経験が短く、視覚的資料をもとに自分で修正することが困難な学生もみられたことから指導方法の導入時期については継続した調査が必要である。歯型彫刻技術は、歯列や咬合を考慮し、バランスのとれた解剖学的形態を短時間で手作業又はパソコン画面上での作業へ直結する。そのため歯の形態を理解するための歯型彫刻の反復練習が必要である。彫刻のモチベーションの向上が示唆された本手法は、汎用性も高く、聴覚に障害を持つ学生のみならず健聴者にとっても有効であると考える。
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