2016 Fiscal Year Annual Research Report
Non-Uniform Sampling法による未検出ピークの構造情報からの追跡
Project/Area Number |
16H00313
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清 悦久 東京工業大学, 技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | NMR / NUS / HSOC |
Outline of Annual Research Achievements |
核磁気共鳴装置(NMR)は化合物の構造解析において最も有用かつ重要な分析機器の一つである。その理由として感度が不足していても測定回数を増やすことで必要な感度を得ることが可能である。一方NUS法は高分解能を維持したまま測定時間の短縮が可能となるため、特に多くの時間必要とされる希少試料の構造解析には有用である。今回分子量約4000のカプセル型超分子化合物に分子量約300の分子をゲスト分子として内包した化合物を用いてNUS法によるCOSY、HSQCスペクトルを解析したところ、HSQCスペクトルに関して本来あるべき箇所のピークが得られないことが判明した。この原因を追究すべく本化合物を用いて調査を行うこととした。まず、ゲスト分子のみのNUSによるHSQC測定を行ったところ全てのピークが確認された。しかし注意深くスペクトルを観察すると、一部のゲスト分子由来のピークは他のピークより若干の感度低下が見受けられた。これはHSQC特有の現象であり、ある官能基の信号は低下する傾向にあるためである。またゲスト分子のみと超分子化合物に内包されたゲスト分子とのスペクトルを比較すると内包されたゲスト分子は運動性の低下によりピークが全体的にブロード化、つまり感度の低下が起こることも確認された。次にゲスト内包型超分子化合物のHSQC測定を、NUSを用いずに行ったところ全てのピークの信号を得たが、先程の結果と同様にある官能基の信号は低下していることが確認された。さらにNUS測定を繰り返していくと取得するデータポイント数に応じて信号強度(感度)に影響が出ることが判明した。以上のことから今回のNUSを用いたHSQC測定時のピークの消滅の原因として①超分子化合物に内包されることによる感度低下、②HSQC測定法による一部官能基の感度低下、③過剰なデータポイント搾取による感度の低下のためと判明した。今後本研究結果を、NMRを利用する研究者向けに発表していく予定である。
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Research Products
(1 results)