2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00317
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤原 渉 山形大学, 工学部, 技術員
|
Project Period (FY) |
2016
|
Keywords | ジアステレオマー塩法 / 学生実験テーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 『有機学生実験で行う光学異性体分離テーマの開発』という題目の下、新たな学生実験テーマの創設を目指し研究を行った。近年では、光学異性体を工業的生産する場合「天然物から光学異性体を抽出」あるいは「ジアステレオマー塩法を用いた光学分割」め2つが利用される。しかしながら、有機学生実験書で取り扱う分割法は酵素を用いたものが多く、学生実験の内容と実際の工業的手法の間に大きな隔たりがある。 そこで、人的毒性の低いd1-メントールを用いて、工業的生産の1つ「ジアステレオマー塩法による光学分割」を学生に理解させることを目的とする。 【研究方法】 目的物を単離するまでの過程として、①d1-メントールから酸無水物を反応させてd1-メンチルエステルカルボン酸を合成②光学活性アミンを加えてジアステレオマー塩を形成③結晶物を酸で分解し、dor1-エステルカルボン酸を単離④エステル加水分解にてdor1-メントールをそれぞれ単離するといった手順である。 【研究結果】 まず、酸無水物として無水フタル酸及び無水マレイン酸を用いてd1-メントールと反応させ、d1-メンチルエステルカルボン酸の合成を行った。合成における条件検討を行った結果、いずれの化合物も1時間以内に収率90%以上で得ることに成功した。(学生実験の観点から、合成に費やす時間は許容範囲。) 続いて、先ほど合成したエステルカルボン酸に光学活性アミンを加え、ジアステレオマー塩結晶生成を狙った。結晶形成における溶媒の選択が重要なので種々の溶媒を用いて検討を行ったが、結晶の精製には至らなかった。(溶媒に関係なく、カルボン酸とアミンが直接反応してジアステレオマー塩にならない。) そのため、今後は塩結晶の形成を考慮した分子設計, あるいは別の光学活性アミンにて条件検討を行う予定である。
|