2016 Fiscal Year Annual Research Report
危険ドラッグ類の迅速・簡便・確実な一斉分析法の開発
Project/Area Number |
16H00318
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Research Institution | 大阪府警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
松田 駿太朗 大阪府警察本部刑事部科学捜査研究所, 化学研究室, 研究員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 危険ドラッグ / GC-MS/MS / ニュートラルロススキャン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、危険ドラッグ乱用が深刻な社会問題となっている。これらの流行したドラッグのほとんどは、カチノン類または合成カンナビノイド類に分類される。既にGC-MS(/MS)による、それぞれの化合物群毎の分析法が開発されているが、構造決定に有用な情報が少なく判断を誤る恐れがあり、化合物群毎に分析する必要があり時間を要するといった欠点があり、改善が必要である。本研究では、危険ドラッグの迅速・簡便・確実な分析法の確立を目指し、カチノン類及び合成カンナビノイド類の共通構造で、現行指定薬物のほとんどの化合物が持つカルボニル基に着目し、GC-MS/MSを用いたニュートラルロススキャン(NLS)/シングルスキャン(SS)同時分析法を開発した。これにより従来法より一度の分析で得られる情報量が増え、誤判定リスクの減少及び分析時間短縮が期待される。また、代謝物分析にも効果的であると予想されたたため併せて検討した。 まず検討に先立ち、既報を参考に危険ドラッグ及び代謝物の標準品を合成した。次に、合成した標準品及び当所所蔵の標準品を用いて一斉分析法の条件検討を行った。そして、生体試料分析を見据え、代謝物についても検討を行った。 検討の結果、分析はSS及びNLS(ニュートラルロス : 28Da)の同時分析とした。なお、カルボニル基を持たない成分が検出された際に市販のスペクトルライブラリでの検索が可能であること及びNLSで検出されたフラグメントイオンの強度とSSでの強度の比を取ることによりフラグメントイオンがカルボニル基を有するか否かをより確実に判断できるため、SSとの同時分析を採用した。 また、本法はカルボニル基を持つ代謝物も同様に適用可能であることが明らかとなったため、迅速な生体試料分析法として応用可能であると考えられた。
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