2016 Fiscal Year Annual Research Report
グラスバブルコーティングTiを用いたマイクロ鈴構造Al合金の開発
Project/Area Number |
16H00336
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐竹 忠昭 山形大学, 工学部, 技術員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 鈴構造合金 / グラスバブル / 粉末冶金 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 目的 本申請課題では、グラスバブルコーティングを施したTi微粒子を粉末冶金法によりA1合金中に分散することで、振動や音に対して減衰特性を有する鈴構造A1合金を開発することを目的とした。 2. 研究方法 核には粒径150μmのTi-6A1-4V合金微粒子を採用した。粒子径16μmのグラスバブルを用い、外径300μmとなるよう造粒法により核表面にコーティングした(以下核微粒子と呼ぶ)。母相には粒径150、500、1500μmのA1粉末と粒径150μmのA1-12Si合金粉末を用いた。各A1粉末とA1-12Si合金粉末および核微粒子(10wt.)を混合後、真空中においてグラファイト治具を用いて焼結した。また、A1-12Si合金粉末の含有量は約20wt.%、焼結温度は600℃とした。試験片寸法は制振試験用で幅10mm、長さ160mm、厚さ2mmとし、吸音試験用では直径29mm、厚さ3mmとした。試験片作製後、組織観察、吸音試験、制振試験を実施した。 3. 研究成果 SEM観察の結果、150μmのA1粉末を用いたもの(150μm材)では核微粒子をA1粉末が取り囲んだ形態で、500μm材と1500μm材ではA1粒子間に形成された気孔内に核微粒子が存在することが分かった。 500~6300Hzでの吸音試験の結果、150μm材では20~30%の吸音率を有していることが分かった。また、500μm材では20~40%、1500μm材では20~60%の吸音率を有しており本鈴構造体が吸音機能を有していることが分かった。 中央加振法による制振試験の結果、1500μm材については核微粒子を導入しない試験片(未導入材)に比較して損失係数の増加は認められなかうた。500μm材では未導入材(損失係数η0.0015)に比較してη0.0024と1.6倍に増加した。これらに対して、150μm材では大きな損失係数増加が認められ、未導入材のη0.0024に比較してη0.0053と2.2倍に増加した。さらに、核微粒子の量を20%まで増加させた150μm材では、1次共振点(230Hz)でηが0.012まで増加し5倍の増加が認められた。この結果は、本鈴構造材が特に低周波域での制振材として有望であることを示唆している。
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