2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00409
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
上田 瑞恵 静岡大学, 技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | プラスミド / 蛍光タンパク質 / 薬剤耐性遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスミドは, 異なる細菌細胞どうしの接触(=接合)によって, プラスミドを持つ細菌(供与菌)から持たない細菌(受容菌)へと, 接合伝達によって移動し, 宿主に新たな能力を与える遺伝因子である. このような能力から, プラスミドは微生物の高い多様性を生み出し, 我々は有用な微生物の出現にも寄与する一方, 薬剤耐性遺伝子や, 病原性遺伝子もプラスミドによって伝播することが知られている. そこで本研究では, 我々の身の回りの環境に, どのようなプラスミドが, どの程度存在するのかを調べるとともに, その分布についても明らかにし, プラスミドの普遍性や重要性について理解することを目的とした. まず実環境中で遺伝子の伝播を担うプラスミドを探索するために, 緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する受容菌(Pseudomonas属細菌)と, 自己伝達性のプラスミドの介在によって伝達する可動性プラスミド(抗生物質耐性遺伝子を有する)をもつ菌株を準備し, 静岡大学浜松キャンパス構内の土壌由来の微生物集団と混合し, 蛍光と抗生物質耐性を指標として, 環境由来のプラスミドを獲得した受容菌の探索を行った. 本手法では, 環境由来のプラスミドが, 別の薬剤耐性遺伝子などのマーカー遺伝子を持たなくても, 受容菌に伝達させて獲得することができる点にメリットがある. この手法によって, 現在までに177サンプルのプラスミドを持つと推定される菌株を得ることに成功した. さらに, 既存のプラスミドの複製を担う遺伝子配列より, 特異的なプライマーを設計し, PCRによる増幅の成否を調べたところ, 既知のプラスミドグループに属するプラスミドの他にも, 新たなグループに属するプラスミドが含まれることが示唆された. 現在, これらのうち15サンプルを選抜してプラスミドを抽出し, 全塩基配列を決定している. 2本についてはプラスミドの全塩基配列を決定することに成功した. 今後は各プラスミドの塩基配列に基づく比較を行う.
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