2016 Fiscal Year Annual Research Report
科学啓発活動への展開を目的とした中空コバルトブルー粒子の合成
Project/Area Number |
16H00415
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米田 美佳 岡山大学, 工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | コバルトブルー / 中空粒子 / 科学啓発活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 「色の変化」は青少年の科学的関心を喚起する上で極めて効果的な題材である。顔料は粒子径と色調に密接な関係があることが知られているが、その変化を短時間の科学実験教室の中で示すことは難しい。そこで、本研究では、中実粒子を比較すると厚さが薄く、容易に粉砕して粒子径が変化すると考えられる中空粒子に着目した。身近な素材を用いて粉砕により色調が変化する中空コバルトブルー粒子を合成し、科学啓発活動へ展開することを目的とした。 【研究方法】 中空粒子は、テンプレート粒子の周りに目的物質を析出させた後、テンプレート粒子を除去することで合成できる。本研究では、テンプレート粒子として片栗粉を用い、塩化コバルト水溶液と塩化アルミニウム水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加することでこれらの水酸化物を片栗粉粒子のまわりに析出させた。これを遠心分離して乾燥し、乳鉢内で粉砕した後、電気炉を用いて1200℃で焼成した。 【研究成果】 焼成前の粒子のSEM/EDXによる元素分析結果より、片栗粉粒子の周りにコバルト及びアルミニウムの水酸化物が析出していることが分かった。焼成後に生成したコバルトブルーをSEM及びTEMを用いて観察したところ、中空粒子が破砕したような粒子が多く見られたが、一部、中空粒子が生成していた。また、原料溶液の濃度が薄くなると、生成粒子の一次粒子径が小さくなっていた。得られたコバルトブルーを乳鉢で粉砕したところ、色調が明るく変化した。粉砕前後のSEM像を比較すると粒子径が小さくなっており、粒子径と色調の関係を容易に理解できると考えられる。これに加え、片栗粉を用いたことで、青少年にとって身近な物質から興味深い特性を持つ材料が合成可能であることも示せると考えられ、科学啓発活動への展開の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)