2016 Fiscal Year Annual Research Report
溶液ブロー法によるセルロース極細繊維不織布製造技術の基盤確立
Project/Area Number |
16H00429
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西田 綾子 信州大学, 繊維学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 溶液ブロー法 / セルロース / 極細繊維不織布 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロース極細繊維不織布の基盤的な製造技術確立に向けて以下の通り成果報告する。 1. 溶液ブロー技術の確立 (1) セルロースをイオン液体に溶解させ、ノズルから吐出させたポリマー溶液を高速熱風でコレクターに吹き付けることで不織布を作製した。イオン液体として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートや1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリドを用い、凝固溶液としては水を微細霧として噴霧し、吹き飛ばされたポリマー溶液ジェットを固化させ不織布を作製した。 (2) さらに繊維径の均一な不織布を作製するために様々な条件を検討した。セルロース溶液、装置、コレクター等の条件の最適化を目指し実験を継続することで、安定的に不織布を作製する技術を習得することが出来た。 (3) 溶液ブローの手順を整理し、以後の実験に使用できるようにマニュアル化した。 2. 結果とまとめ 作成した不織布を電子顕微鏡を用いて観察した。数百nm~数μm以下の繊維直径を持つ不織布が作製できたが、部分的に繊維の膠着やビーズ等の不均一な部分が観察された。繊維膠着は凝固筒内部のドライミストを筒内に多量に充満することが重要であることがわかった。ビーズについては、溶液の曳糸性に加えて、ノズルと熱風吹き出しスリットの関係が大きく影響すると推定された。 今後はさらに繊維直径の均一化や膠着・ビーズの無い不織布を作製するために改良の検討を続ける予定である。 以上、湿式溶液ブロー型不織布製造装置を用い、イオン液体溶液からセルロース極細繊維不織布を製造するための基盤技術を確立することが出来た。
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