2016 Fiscal Year Annual Research Report
岩手の伝統野菜‘琴畑かぶ’の栄養特性および抗酸化力の評価
Project/Area Number |
16H00441
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉田 晴香 岩手大学, 農学系技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 伝統野菜 / DPPHラジカル消去活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 我が国には、全国各地にその土地の気候・風土や歴史、食文化に根ざした地方伝統野菜が古くから存在するが、それら伝統野菜はその文化と共に消滅の危機にある。岩手県にも様々な伝統野菜が存在するが、その中でも遠野地方で古くから栽培されてきた‘琴畑(ことはた)かぶ’は、栽培農家の減少から一時は途絶えたとされていた幻の野菜である。伝統野菜が恒常的に注目されるためには、単に「珍しい野菜」という希少価値だけではなく、その栄養成分や機能性成分を明らかにすることが重要である。そこで本研究では、岩手県の伝統野菜‘琴畑かぶ’の一般成分、機能性成分に関する調査・分析を行い、その詳細について明らかにすることを目的とした。 ○研究方法 供試材料は‘琴畑かぶ’の他に、比較対象として一般的な小カブを用いた。5月と9月にそれぞれ播種し、生育調査をしたみちに一般成分と機能性成分の分析を行った。なお一般成分については外部委託とした。具体的な調査項目について、生育調査は「葉長、葉数、根長、根径、全重、根重」、一般成分は「エネルギー量、水分量、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分、食塩相当量」、機能性成分は「抗酸化活性」とし、抗酸化活性は生の状態と茄でた状態で、DPPHラジカル消去活性の測定により分析した。 ○研究成果 ‘琴畑かぶ’と小カブを比較して、一般成分に関してはナトリウム含量が‘琴畑かぶ’でやや高い傾向にあった。その他の成分に関してはほぼ同程度であった。DPPHラジカル消去能は小カブに比べて‘琴畑かぶ’では個体間で差が大きかった。「5月播種(生、茄で)」、「9月播種(生、茄で)」、いずれも小カブの方が高い値が得られたが、「9月播種(茄で)」を除いて‘琴畑かぶ’との差は小さかった。‘琴畑かぶ’の皮について生の状態で分析した結果、皮を剥いた部位の平均値と比べて「5月播種」で約7.3倍、「9月播種」で約5.6倍の値が得られた。
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