2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00442
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Research Institution | 埼玉県立川口北高等学校 |
Principal Investigator |
井口 藍 埼玉県立川口北高等学校, 教諭/高校教師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 白化 / 高温ストレス / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
<意義・成果> 昨今の異常気象により、サンゴやイソギンチャクの世界的な白化と死滅が報告され、社会問題となっている。白化とは、サンゴやイソギンチャクに共生している褐虫藻が、体内からいなくなる現象である。本報告者は、白化現象は、サンゴやイソギンチャクの順応と考えている。そこで、この白化の利点と不利点を明確にするための評価方法の確立が当面の目標である。また、この社会問題に対して人が関心をもって積極的に関わっていくことが大切である。今回の成果は次の2点である。 (1)ヨロイイソギンチャクでは、白化個体の方が通常個体よりも高温ストレスに耐性のあることをATP量により定量的に示した。 (2)実験した生徒や研究発表の場を通して、社会的問題となっている異常気象による生物への影響を、これからの社会の形成者である生徒らに考えさせる機会を設けることができた。 <具体的内容> 予めヨロイイソギンチャクを白化・養生させた白化個体と通常個体を用い、高温ストレス35℃条件下に24時間暴露した際のATP量を比較すると、白化個体では通常個体の1.4倍であり、白化個体の方が、高温ストレス耐性が比較的高いことが示唆された。また、予め単利培養した褐虫藻を用い、通常飼育温度25℃と高温ストレス35℃条件24時間暴露後の褐虫藻のATP量を比較したところ、35℃条件の方が倍近く多かった。このことから、白化は褐虫藻が弱ることが原因ではないことが示唆された。このATP量測定は、刺胞動物等の活性度合いが不明瞭な生物の評価方法にも応用できるだろう。
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