2016 Fiscal Year Annual Research Report
マシコヒゲムシの長期飼育のための幼生の育成及び小型個体の採集に関する研究
Project/Area Number |
16H00450
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小木曽 正造 金沢大学, 環日本海域環境研究センター 臨海実験施設, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | ヒゲムシ / 化学合成 / 飼育 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ヒゲムシ類は環形動物門シボグリヌム科に属し、海底に作る細長い棲管内に住む。口や食道などの消化器系を持たず、体内に共生する化学合成細菌から栄養を得る特殊な生活を送る。しかし、殆どの種が深海底や寒冷な海域に生息し、観察や採集が難しくその生態はわかっていない。例外的に比較的温暖で浅所に住むマシコヒゲムシOligobrachia mashikoiを用い、水槽内で長期間飼育してその生態を解明するために、飼育に用いる初期導入個体の有効な入手方法と飼育方法を検討した。 【方法】採集した個体を直接水槽で飼育するため、スクーバ潜水を用いてシャベルで生息地の泥を掘り返し、マシコヒゲムシを棲管ごと取り出して持ち帰った。生息地の泥を入れた水槽に採集した104個体をほぼ垂直に棲管ごと埋め直して観察した。 受精卵から育成した個体を飼育に用いるため、繁殖期に成熟したメスを採集し、メスの体を切って取り出した卵をシャーレ内で発生させ、幼生まで育成した。その後、生息地の泥を入れた容器へ幼生を収容し、観察を行った。 【成果】採集して水槽へ導入した個体のうち、体の一部を棲管から出して1回でも生存していることが確認できたのは18個体だった。そのうち、30日以上生存した個体は5個体で、2017年3月31日現在、1個体が149日間、別の1個体は183日間生存を確認している。水槽に導入した個体は導入前に顕微鏡で棲管の外側から観察したが、いずれも体の途中で切れており、末端部まである個体はいなかった。そのため、体の一部が切れた状態で採集しても、ある程度長い期間水槽内で飼育できることが明らかになった。 21個体のメスから取り出した卵をシャーレ内で育成し、約500個体の幼生を得た。その中の418個体は泥を入れた容器へ収容し観察を継続している。残りの個体はシャーレ内で育成を続け、最長で39日間生存した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Immunoreactive calcitonin cells in the nervous system of polychaete Perinereis aibuhitensis2017
Author(s)
Yoichi KASE, Shouzo OGISO, Takahiro IKARI, Toshio SEKIGUCHI, Yuichi SASAYAMA, Yoichiro KITANI, Yohei SHIMASAKI, Yuji OSHIMA, Akira KAMBEGAWA, Yoshiaki TABUCHI, Atsuhiko HATTORI, and Nobuo SUZUKI
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Journal Title
Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University
Volume: 62
Peer Reviewed
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