2016 Fiscal Year Annual Research Report
森林内樹木における放射性物質分布の可視化による教材開発
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16H00467
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 拓也 山形大学, 農学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | オートラジオグラフィー / 放射性物質 / 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 2011(平成23)年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、放射性物質が大気中に拡散し森林内が汚染された。放射性物質が付着した箇所を容易に理解できるような情報を普及させる必要がある。そこで、オートラジオグラフィーによる画像解析によって、実際に樹木の表面と内側に付着・移動した放射性降下物の分布を明らかにし、環境教育のための教材を開発することを目的とする。 2. 研究方法 本研究ではBio imaging analyzer(BAS-1800, 富士写真フィルム製)により分析した。福島県内の福島第一原子力発電所から30km圏内から採取したスギの針葉、枝、幹円板等を用い、短期間暴露(1-4日間)、長期間暴露(2週間)、遮蔽箱を用いた長期間暴露(4週間)試験を行い、その結果を比較した。 3. 研究成果 短期間暴露(4日間)試験では、スギの針葉部分で発光量が多く、周囲より鮮明な画像が得られ、放射性物質が全体的に付着していることが確認された。樹皮付きの幹円板では樹皮沿いに規則的に発光し、樹皮無しの幹円板(材部)ではほぼ発光が観察されなかった。一方で長期間暴露(2週間)試験では、樹皮無の幹では自然放射線の影響を受け、イメージングプレート全体に短期間暴露よりも強い発光が見られたが、木部における可視化はできなかった。同時に行ったKCl溶液(3.3mol/L)を付着させた材部では、明瞭な画像が得られることから材部の線量は自然放射線量並の値であることが予想された。遮蔽箱を用いた長期間暴露(4週間)では、バックグラウンド値が低減され、画像がより鮮明になった。各暴露試験における同一画像中のPLS値の範囲は、8~354PSL/㎟となり、青→青緑→黄色→赤と段階的な色変化を伴った。これらの色変化は理解しやすい情報であることから、環境教育への有効活用が期待できる。
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