2016 Fiscal Year Annual Research Report
NGSを利用した渓流魚の在来種新規判別方法の開発と嘉瀬川水系在来ヤマメの保全
Project/Area Number |
16H00474
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鵜木 陽子 九州大学, 農学研究院, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 在来種 / 次世代シーケンサー / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 渓流魚は遊漁対象魚であることから種苗放流が盛んであり、元々生息する在来種の判別は時に困難を極める。在来種の判別は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の部分配列やマイクロサテライト(MS)などによる遺伝学的な集団構造解析が行われているが、部分配列では十分な系統解析ができない上、複数の遺伝子マーカーをそれぞれ別々に解析するため、作業も煩雑となる。そこで、本研究では、嘉瀬川水系在来ヤマメを推定するために、次世代シーケンサー(NGS)を利用して、mtDNA全長配列とMSデーターを1度のrunで取得する新たらしい解析方法を試みた。 [方法] 水系内、他水系、養魚場・試験場のヤマメについて、まずmtDNA ND5領域を解析し、水系内のハプロタイプ(Hap)を検出した。次に、主なHapを中心に水系内の異なる地点のサンプルを含めてそれぞれのmtDNA全長ライブラリーとMS 6遺伝子座のライブラリーを作製し、適当量を混合してMiSeqで解析した。 [結果] mtDNA全長配列とMS 6遺伝子座のデーターは十分な精度で取得され、そのカバレッジなどから、さらに遺伝子座を追加し、検体数も増やすことが可能であると考えられ、そのおおよその至適量等を求めることができた。 mtDNA全長配列に基づく系統解析からは、従来法では得られなかった詳細な分岐を示す系統樹を得ることができ、それらの分岐年代の推測も可能となった。また、ある種苗と同じHapを示していたあるサンプルは、全長ではその種苗と異なり、その水系の在来種である事が判明した。 以上の結果から、本方法は、種苗と在来を明瞭に判別できる可能性が高く、極めて有効な判別方法である事が示唆され、本研究によって、現実的に利用可能な解析方法として概ね確立させることができた。
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Research Products
(2 results)