2016 Fiscal Year Annual Research Report
髄液移行性を考慮した細菌性髄膜炎に対するバンコマイシン投与設計法の確立
Project/Area Number |
16H00483
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 雅之 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 細菌性髄膜炎 / 髄液移行性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】 細菌性髄膜炎は致死率が20%前後にも及ぶ重篤な感染症であり、救命し得た場合でも重度の後遺症が残ることが多い。数時間から数日で急速に進行するため、抗菌薬治療早期から投与終了まで十分な髄液中濃度を維持できる適切な投与設計を行うことが必須である。起炎菌としてMRSAが想定される細菌性髄膜炎に対してはバンコマイシン(VCM)あるいはその代替薬としてリネゾリド(LZD)がしばしば用いられるが、治療ターゲットである髄液への移行性に関する報告は限られており、治療早期から投与終了まで十分な髄液中濃度が得られるような投与設計法は確立されていないのが現状である。そこで細菌性髄膜炎に対するVCMおよびLZDの髄液移行性に関して検討することを目的として、まずはVCMおよびLZDの髄液中濃度測定法の確立に向けた検討を行った。 【方法】 VCMあるいはLZDの標準試料100μLにアセトニトリル150μLを加えて混和、遠心分離後の上清をHPLC-UV法で測定した。 【結果・考察】 HPLC-UV法によりVCM髄液中濃度測定を試みた結果、VCMピークと夾雑ピークとの分離が不十分で移動相条件の変更等のさらなる検討が必要と考えられた。 その一方で、LZDは保持時間約15分に溶出され分離は良好であった。0.5~40μg/mLの範囲で定量が可能であることが示された。これまでの報告を考慮すると、LZDの髄液中濃度は0.5~40μg/mLと予想されることから、本法はLZD髄液中濃度を測定する簡便で有用な方法であることが示された。
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